事務局長談話

 
2023年11月29日
2023年度補正予算成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.「歳出構造を平時に戻していく」方針と矛盾していると言わざるを得ない
 11月29日、総合経済対策の裏付けとなる約13.2兆円の2023年度補正予算が参議院本会議で可決・成立した。
 物価高により厳しい状況にある生活者、事業者への支援として、住民税非課税世帯への7万円の給付とエネルギー事業者への補助金の延長が盛り込まれるなど物価高対策には一定の理解を示せるが、その規模は総額の2割に過ぎず、残りの8割は既存経費の積み増しや基金の新設・増加となっている。補正予算編成の要件である「特に緊要となった経費の支出」とは言い難いことに加え、予算の7割を国債の追加発行で賄うとしており、「歳出構造を平時に戻していく」という政府の基本方針と矛盾していると言わざるを得ない。

2.税制による恒久的な支援制度を構築すべき
 今次補正予算案では、低所得者への給付と合わせ、3兆円台半ばの規模で所得税・個人住民税の定額減税を行う考えも示された。当初の「税収増の還元」から「物価高に負けない賃上げを実現するための環境整備」と目的が変更されたことに加え、実施時期は来年6月以降で1年限りとしており、可処分所得を増やし消費拡大につなげるという政策効果が十分に得られるのか分かりにくいものとなっている。今回のように「給付と減税」を同時に行うのであれば、正確な所得捕捉にもとづく「給付付き税額控除」の仕組みを導入するなど、税制による恒久的な支援制度を構築すべきである。
 また、政府は燃料価格高騰時の揮発油税などの課税停止措置(トリガー条項)の発動についても検討する方針を示した。燃料課税については、来年5月以降の事業者向け補助金の出口戦略として、地方財政へ配慮しつつ、「当分の間税率」の廃止も含めて、真摯な議論を通じ早期に結論を得るべきである。

3.誰もが安心してくらせる社会の実現に向け、全力で取り組む
 来たる2024年度予算編成・税制改正においては、今回の補正予算も含め、これまでの政策効果を精緻に検証したうえで、わが国の構造課題の解決や持続的成長に資する、真に必要な予算・税制とすべきである。
 連合は引き続き、誰もが安心してくらせる社会の実現に向け、政策・制度要求の実現に全力で取り組んでいく。
 

以 上