事務局長談話

 
2023年07月28日
2023年度地域別最低賃金改定の目安に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.本年度の目安は公労使が議論を尽くした結果として受け止める
 中央最低賃金審議会 目安に関する小委員会(委員長:藤村博之 独立行政法人労働政策研究・研修機構 理事長)は7月28日、2023年度の地域別最低賃金改定の目安を、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円と示した。
 本年度の目安は過去最高額であり、今次の春季生活闘争の成果を未組織の労働者へと波及させ、社会全体の賃金底上げにつながり得る点は評価できる。物価上昇が続く中、最低賃金近傍で働く労働者の暮らしを守るという観点では十分とは言えないが、公労使で真摯な議論を尽くした結果として受け止める。

2.「誰もが時給1,000円」を早期に実現し、今後のあるべき水準の議論へ
 議論において労働側は、①依然高い水準で推移する物価の状況に鑑みた実質賃金を強く意識した審議の必要性、②日本のデフレマインドを払しょくし日本経済の局面を転換するために、今次春季生活闘争の成果を未組織労働者へ広く確実に波及させる必要性、③人材確保難や都市部への人材流出の一因となっている地域間格差を早急に是正することの必要性、などを強く主張した。
 労働側の主張は一定受け入れられ、連合がめざす「誰もが時給1,000円」に向け前進する目安が示されたが、依然としてナショナルミニマム水準として不十分である。引き続きあるべき水準に関する公労使による議論を深めていく必要がある。

3.地域間の「額差」改善に向けた地方審議を強く期待
 本年度の目安審議は、制度発足以来初めて見直された新たな3ランク制度にもとづき行われた。労働側は最高額と最低額の「額差」改善につながる目安を示すべきである点に最終局面までこだわったものの、地域別最低賃金額が低い県における負担が大きくなることにも一定配慮する必要があることなどを理由に、「額差」改善の目安を示すには至らなかった。今後の地方最低賃金審議会の審議において「額差」改善に向けた前向きな議論が行われるよう、重大な関心をもって経過を注視するとともに情報連携を徹底する。

4.目安を十分に参酌した引き上げと早期発効に取り組む
 地域別最低賃金は、集団的労使関係のない職場を含めた社会全体の賃金を底支えする重要な役割を果たしている。連合はこの重要性を改めて認識した上で、今後の地方審議において、目安を十分に参酌した引き上げと早期発効に向けて全力で取り組む。

以 上