事務局長談話

 
2023年06月13日
「こども未来戦略方針」に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.「戦略」の策定に向け、国民の納得が得られる検討を求める
 6月13日、政府のこども未来戦略会議において、「こども未来戦略方針」が取りまとめられた。方針では、児童手当の所得制限の撤廃や、長年の課題であった保育士の職員配置基準の見直しが盛り込まれた。一方、様々な支援策の裏付けとなる財源の確保策については、十分な議論が尽くされることなく先送りとなった。年末に向け「戦略」が策定されるが、連合は「安心して子どもを生み育てやすい社会」の実現をめざし、国民の納得が得られる検討を求める。

2.すべてのライフステージで仕事と生活の両立が可能な社会の構築を
 子ども・子育て政策の推進においては、良質で安定した雇用の確保・維持を通じて生活の基盤を支えるとともに、固定的性別役割分担意識からの脱却や、働き方改革を推進し、子育て世代を問わず、誰もが仕事と生活の両立をはかることが可能となる社会の構築が重要である。育児休業給付の給付率の引き上げ、時短勤務時の給付の創設などについては、給付の対象とならない者との公平性などの観点はもとより、社会全体で子ども・子育てを支えていく意識の醸成や雇用保険制度の本来の趣旨・目的を勘案し、慎重に検討する必要がある。また、取り組みの効果について、府省の枠を超えて政策評価・検証を行い、適切に見直すことが重要である。

3.人材の確保に向けて、賃金・労働条件を改善すべき
 方針には、保育士の職員配置基準の見直しや、就業要件を問わず誰もが保育サービスを利用できる制度の創設、伴走型相談支援の充実などが盛り込まれたが、いずれの施策も人材なくして実行は不可能である。賃金・労働条件を改善するとともに、安心して働き続けられる職場環境の整備を通じて、人材の確保を迅速かつ強力に進める必要がある。経済的負担の軽減策は、今後取り組む施策の詳細を関係審議会で議論し、速やかに実施することで当事者や将来世代が抱く不安の払拭につなげるべきである。

4.税や財政全体の見直しを含め幅広い財源確保策を検討すべき
 財源確保のための社会保障における制度改革や歳出の見直しが、既存の社会保障の機能劣化を招いてはならない。「支援金制度(仮称)」の構築については、その法的性質や、給付と負担の関係性、支援金の運営体制と責任、拠出する側からの意見反映など課題が山積している。税や財政全体の見直しを排除することなく、幅広い財源確保策を検討すべきである。連合は、これからの若い世代を含め、誰もが安心してくらし、仕事と生活を両立できる社会の実現に向け、引き続き政府への働きかけを強めていく。

以 上