2023年06月02日
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(マイナンバー法等の一部改正法)の成立に対する談話
1.公平・公正な社会の実現に向け一定の前進につながるものと受け止める
6月2日、マイナンバー法等の一部改正法が参議院本会議で可決・成立した。本改正により、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、戸籍等への「氏名の振り仮名」の追加、公金受取口座の登録が促進されることとなる。連合はマイナンバー制度を、公平・公正な税制、税による所得再分配機能の強化、安心と信頼の社会保障制度の確立、国民の利便性向上などを実現するために不可欠な社会基盤と位置付けている。今回の改正は、公平・公正な社会の実現に向け一定の前進につながるものと受け止める。
2.「氏名の振り仮名」の追加と公金受取口座登録には国民への丁寧な周知が必須
戸籍等への「氏名の振り仮名」の追加にあたっては、1億2千万人超のすべての国民が自ら届け出る必要があり、受理する地方自治体の負担軽減策の具体化が必須である。あわせて、すべての国民に届出を促すには、「自己の氏名を正しく呼称される権利の保護」が改正主旨であることや、「名乗り訓」などわが国固有の命名文化を否定するものではないことなどを丁寧に国民に周知するとともに、高齢者やDV被害者など届出が困難な層に対する特段の配慮が必要である。
公金受取口座の行政機関等経由登録の特例制度については、不同意の意思表示がない場合に同意とみなすことを前提とせず、対象となる年金受給者へ丁寧な周知・説明を行い、全員から同意を得られるよう回答までに十分な期間を設けるべきである。
3.すべての人が確実に保険診療を受けるため、資格確認書の丁寧な周知を
マイナンバーカードへの一体化による健康保険証の廃止に伴う措置として、マイナンバーカードを取得していない者が医療を受ける際に必要となる資格確認書のしくみの整備等が盛り込まれた。今後は、国民皆保険のもと、すべての人が確実かつ円滑に保険診療を受けられるよう、資格確認書の申請方法等について、国民・患者目線での丁寧な周知を行うとともに、データ基盤の整備推進を通じた医療・介護の情報連携強化により、医療の質の向上につなげることが重要である。その前提となる医療DX推進基盤であるオンライン資格確認等のシステム導入をさらに進めるべきである。
4.公平・公正な社会の実現に向けて引き続き取り組む
マイナンバー制度への不安や誤解がいまだ根強く残る中、度重なるシステムの不備を重く受け止め信頼回復に努めるとともに、個人情報管理体制のより一層の強化を行うべきである。連合は、マイナンバー制度への理解促進をはかりつつ、公平・公正な社会の実現に向けて引き続き取り組んでいく。
以 上