事務局長談話

 
2023年05月24日
広島サミット「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.核軍縮に関する声明が出されたものの、核抑止を事実上肯定したことは残念
 5月19日、先進7カ国(G7)首脳は、G7広島サミットにおいて、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン(以下、声明)」を発表した。本声明では、核兵器不拡散条約(NPT)を核兵器不拡散体制の礎石と位置づけ、その堅持を明記するとともに、核兵器保有国が互いに核戦力を開示して透明性を確保し、核兵器数の削減努力を継続していくことを柱としている。被爆地・広島で開催された歴史的なサミットにおいて、グローバルサウスの国々に加え、ウクライナ大統領も出席した中で、核軍縮に関する声明が出されたことは一定評価するが、「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的な道筋が示されず、核兵器による抑止力を事実上肯定したことは残念である。
 一方で、広島平和記念資料館を訪れた核兵器保有国を含む各国首脳には、核兵器使用の恐怖と悲惨さ、実相を強く胸に刻み、核兵器廃絶に向けたリーダーシップを発揮することを強く期待する。

2.日本政府には「核兵器のない世界」の実現に向けた粘り強い外交努力を求める
 本声明では、核兵器による威嚇や核兵器の使用に反対すること、各国指導者による被爆地訪問の促進も中核的な内容として盛り込まれている。ロシアによるウクライナ軍事侵略における核威嚇や中国の核戦力増強など、核軍縮に逆行する動きを抑制し対話を求めることや、各国の政治指導者が被爆地で核兵器による惨禍の実相を直視することは、核軍縮を進める上で極めて重要であると考える。日本政府には、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約の早期批准など、「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的な取り組みを示すとともに、その履行を各国に求めるべく、外交努力を粘り強く続けるよう強く要請する。

3.連合は核兵器廃絶のために引き続き取り組む
 連合は、これまでNPT再検討会議に向けて、原水禁、KAKKINの3団体で「核兵器廃絶1000万署名」などの具体的な行動に取り組んできた。これからも引き続き、広島や長崎における平和行動をはじめ、国際労働組合総連合(ITUC)などを通じ、核兵器による被爆の悲惨な体験を広く国際社会に訴えるなど、関係団体と連携し、あらゆる機会をとらえて核兵器廃絶に向けた取り組みを進めていく。

以 上