事務局長談話

 
2023年05月12日
「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(GX推進法)の成立に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.GX推進法に「公正な移行」を盛り込み、極めて高く評価する
 5月12日、衆議院本会議で「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案」(GX推進法案)が可決され、成立した。
 本法案は、本年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」を踏まえて提出されたものである。提出当初は盛り込まれていなかった「公正な移行」に関する修正案が参議院において与野党共同提案により可決され、今回の成立に至ったうえ、両院の附帯決議においても連合の要求の多くが取り入れられたことは、連合組織内議員ならびに衆参両院の連合フォーラム議員の尽力の賜物であり、極めて高く評価する。
 連合は、今後の具体的方策の策定と進捗評価を行うこととなる政府の「GX実行会議」などにおいて、附帯決議において確認された、課題を深掘りするための省庁横断的な体制の早期整備や重層的なセーフティネットの構築、地域経済のあり方、国・地域・産業の各レベルにおける労働組合を含む関係当事者の「社会対話」による政策課題の洗い出しなどとともに、それらを実現するための予算措置を求めていく。

2.附帯決議において、今後の議論への労働組合の参画が担保された
 法案審議においては、立憲民主・国民民主両党の衆参両院の経済産業委員会委員による質疑によって、連合の懸念事項に対する政府側の前向きな答弁が引き出され、附帯決議に反映された。
 特に、GX推進戦略の案の作成や成長志向型カーボンプライシングにかかる詳細設計にあたっては、策定プロセスの透明性の確保をはかり、学識経験者や有識者、産業界、労働界等からの意見を尊重・斟酌するとされたことは、今後の議論への労働組合の参画に途を拓くものである。また、GX対応への遅れが懸念される中小企業が取り残されないよう、支援事業の拡充やより効果的な支援体制の構築、大企業のイニシアティブによるサプライチェーン全体での取り組み促進など、実効的な支援策についてもあわせて盛り込まれた。

3.連合は、GXの実現に向けて引き続き取り組みを推進する
 GXの実現は、環境負荷の低減やエネルギー自給率の向上、産業競争力の強化等を通じた国民生活の質的向上や経済成長など国民全体の便益に寄与するものであり、要する費用は広く社会全体で公正・公平に負担する必要がある。
 連合は、政府に対し、国民や事業者などへのGXの意義や負担に対する理解醸成に向けた積極的な取り組みを求めるとともに、自らも国際労働組合総連合(ITUC)との連帯を通じたグローバルレベルでの働きかけや、気候変動と雇用に強い職場づくりに向けた労使による対話促進、ピークカットアクションなどの取り組みを推進していく。

以 上