事務局長談話

 
2023年04月28日
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長  清水 秀行

1.法律案の可決・成立はフリーランスの保護・支援に向けた一歩
 4月28日、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律が全会一致で可決・成立した。本法律は、請負契約で就業する者が安定的に働けるよう、取引の適正化など環境整備を目的としている。「働く者の保護強化」につながる本法律については、連合も今国会の重点法案と位置付け、その成立を求めてきた。立憲民主党・国民民主党などの質疑を通じ、衆議院で18項目、参議院で19項目の附帯決議が付された。本法律は、フリーランスの保護・支援に向けた一歩であり、全会一致で成立したことは連合として評価したい。

2.契約上のトラブルを抑制する効果が期待されるも実効性確保が課題
 取引先との契約上のトラブルなどが多いことを踏まえ、本法律は「事業委託の際の書面の交付等」「契約の中途解約・不更新の際の事前予告」「報酬の支払に関する義務」や、ハラスメント対策、出産・育児・介護との両立への配慮など「事業者が取り組むべき事項」が盛り込まれた。しかし、支払われる報酬の内容や両立への配慮など、その実効性をいかに確保するかが課題であり、関連する附帯決議の具体化に向け、関係者参画のもと審議会など公開の場における検討を行うべきである。

3.労働者性の判断基準の見直しを進めることが急務
 フリーランスの中には、労働者に近い働き方であるにもかかわらず「曖昧な雇用」として請負契約で就業している者も少なくない。多様な働き方が増えていることを踏まえれば、1985年の「労働基準法研究会報告」以降検討されていない「労働者性の判断基準」の見直しは必須であるが、本法律には判断基準の見直しは盛り込まれていない。参議院での参考人質疑を通じ、労働諸法の適用がない就業者の保護の在り方、労働者性の判断基準の枠組みが適正か否かについての不断の確認と必要な措置の実施、監督署による偽装フリーランス等の保護施策の附帯決議は付されたが、判断基準の見直し・拡充は喫緊の課題であり、早急に議論を開始すべきである。

4.連合は働く者の安心と安定のために全力で取り組む
 本法律は、適用が「特定受託事業者」に限定されるが、立場の弱いフリーランスにとっては意義がある。連合は、附帯決議などを足掛かりに、本法律にかかる政省令・指針の策定に積極的に関与し、必要な措置の実施を含めた実効性の向上を求めていく。また、Wor-Qの活用を通じフリーランスを含めた曖昧な雇用で働く者の安心と安全の確保に向け、構成組織、地方連合会と一丸となって運動を推進していく。

以 上