事務局長談話

 
2023年04月26日
「労働政策基本部会報告書~変化する時代の多様な働き方に向けて~」についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長  清水 秀行

1.非正規雇用を含めた能力開発・人材育成の重要性が示されたことは評価
 本日、労働政策審議会労働政策基本部会(部会長:守島基博 学習院大学副学長)は、「労働政策基本部会報告書~変化する時代の多様な働き方に向けて~」をまとめた。報告書では、今後の社会変化に対応するための能力開発・人材育成の推進や人事制度のあり方など今後の労働政策の方向性が示された。非正規で働く者を含めたすべての労働者へのリスキリングをはじめとする能力開発の推進や、中小企業の能力開発を後押しするための支援の充実などが示されたことは評価できる。

2.「ジョブ型人事の導入」「労働移動」は労使の主体的判断と労働者意思の尊重を
 報告書では、人事制度のあり方として、「ジョブ型人事」と「労働移動」の推進が重要と記載されている。ジョブ型人事制度は、労使慣行や職場実態などを踏まえ、労使の主体的な判断により導入の可否を検討すべきである。また、労働移動は労働者にとって魅力的な産業づくりがなされた結果として生じるものであり、労働者本人の意思が前提とされなければならない。報告書では、解雇無効時の金銭救済制度にも言及しているが、労働者保護に欠ける労働法制の緩和がなされることがあってはならない。

3.働く者の「雇用の安定」「安全・安心」を労働政策の根底に置くべき
 今後、いかに社会環境が変化しようとも、働く者の「雇用の安定」と「安全・安心」の重要性は不変であり、その概念は労働政策の根底に置かれなければならない。そのうえにたって、個別労使は企業および経済社会の持続的な発展に向け、労使コミュニケーションを活性化させるとともに、自社の責任として、すべての働く者への人材育成・能力開発を主体的に推進していくことが重要である。引き続き、連合は、すべての働く者が安心して働くことのできる社会の実現に向け全力で取り組む。

以 上