事務局長談話

 
2023年04月06日
中央最低賃金審議会 「目安制度の在り方に関する全員協議会報告」に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.目安制度の信頼性の向上に資する前向きな結論を得ることができた点は評価
 4月6日、中央最低賃金審議会(会長:藤村博之 独立行政法人労働政策研究・研修機構 理事長)は、「目安制度の在り方に関する全員協議会報告(以下「報告」)」をまとめた。
 約2年にわたる公労使三者による熟議の結果、ランク制度の見直しを中心に、目安制度の信頼性の向上に資する前向きな結論を得ることができた点は評価したい。

2.3ランク制への移行は、地域間格差是正の第一歩となりうる大きな見直し
 毎夏、中央最低賃金審議会が示す地域別最低賃金引き上げの目安は、制度発足以来、所得・消費、給与、企業経営に関する各種指標を踏まえて算出した総合指数をもとに、47都道府県を4ランクに区分して示されてきた。
 この4ランク制について、①47都道府県の総合指数の差が縮小する一方で地域間の額差が拡大していること、②近年はランク間の目安額の差が縮小し、複数ランクで同額が示されるケースもあること等を踏まえ、ランク数を3へ減少させることとした。これは地域間格差是正の第一歩となる大きな見直しである。

3.「最低賃金のあるべき水準」は引き続き労使で検討を続けるべき
 ランク制度の見直しのほかにも、報告では、目安審議の一部公開や目安審議に用いる参考資料の充実等について一定の結論を得た。
 他方、検討項目の1つである「最低賃金のあるべき水準」の設定については意見の一致に至らなかったが、報告にあるよう、引き続き労使で議論を続けることが必要である。

4.「誰もが時給1,000円」に向けて取り組む
 2023年度の目安審議は、報告に基づき所要の見直しをはかった上で行われることとなるが、急激な物価上昇が働く者の生活を直撃する中、最低賃金の引き上げは待ったなしの課題である。連合は、生存権を確保した上で労働の対価としてふさわしいナショナルミニマム水準への引き上げと地域間格差の是正に向け、「誰もが時給1,000円」到達を目標に取り組む。

以 上