事務局長談話

 
2022年12月27日
労働条件分科会報告「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.裁量労働制の適正運用につながる措置は評価も、専門業務型の対象業務追加は遺憾
 12月27日、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会(会長:荒木尚志東京大学大学院教授)は、無期転換ルールや労働時間制度などに関する報告をとりまとめた。報告において、①無期転換ルールにおける申込機会や更新上限などの明示義務づけ、②裁量労働制における本人同意など適正な運用に関する措置が明記されたことは評価する。一方、企画業務型裁量労働制の対象業務は追加されなかったが、専門業務型の対象業務に銀行と証券会社のM&Aアドバイザー業務が追加されたことは遺憾である。

2.裁量労働制の不適切な運用をなくすために厳格な指導監督の徹底を
 裁量労働制については、健康・福祉確保措置の強化や専門業務型における本人同意の義務化などが明記された。労働者の健康や適切な裁量・処遇の確保に向けた一歩であり、実効性の確保とともに、厚生労働省の実態調査でも見られた不適切な運用をなくすための厳格な指導監督の徹底が求められる。一方、対象業務については、使用者から強く要望のあった、金融機関における資金調達方法の考案業務は追加されず、M&Aアドバイザー業務は、銀行と証券会社に限定のうえ、対象業務に追加となった。不適切な運用を防ぐためにも業務をより明確化すべきである。

3.無期転換の一層の周知に加え、制度の濫用防止などに向けた対策を推進すべき
 労働契約関係については、①有期契約労働者の雇用の安定に向け、無期転換申込権が発生する契約更新時における申込機会および転換後の労働条件、更新上限の有無などの書面明示義務づけ、②労働条件明示事項に職務などを限定する場合の変更範囲を追加することなどが盛り込まれた。無期転換ルールの活用や処遇改善の必要性などの周知に加え、無期転換回避など制度の濫用防止や、フルタイム無期転換者を含む均等・均衡待遇に向けた取り組みの徹底などが求められる。

4.すべての働く者の雇用の安定と健康確保に向けて全力で取り組む
 今後、同報告にもとづいて省令や告示などの改正に関する審議が行われる。連合は、有期契約労働者等の雇用の安定と処遇改善、裁量労働制で働く労働者の健康確保や制度の適正な運用の観点から、引き続き構成組織や地方連合会と一体となり全力で取り組んでいく。

以 上