事務局長談話

 
2022年12月16日
全世代型社会保障構築会議の「報告書」に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.全世代型の社会保障制度の実現に向け、国の責任で財源を確保することが必要
 政府の「全世代型社会保障構築会議」は12月16日、「報告書」を取りまとめた。「こども・子育て支援の充実」として、出産育児一時金の増額や児童手当の拡充、働き方に中立的な社会保障制度等の構築として、厚生年金や健康保険の加入対象を広げる「勤労者皆保険」の実現などが記載された。しかし、妊娠・出産・子育てに包括的な支援をする「未来への投資」が必要としながら、5月の「中間整理」でも課題となっていた、裏づけとなる財源に関する記載がなく不十分である。全世代型の社会保障制度の実現に向け、国の責任で財源を確保することが求められる。

2.すべての労働者に社会保険の適用を
 「報告書」では、「勤労者皆保険」に向けて、短時間労働者の社会保険適用における企業規模要件の撤廃や非適用業種の解消を早急に実現することを求めている。連合はこれまで、企業規模要件を速やかに撤廃し、労働時間要件(週20時間以上)または年収要件(給与所得控除の最低保障額以上)のいずれかに該当すれば社会保険を適用させること、非適用業種を撤廃し常時5人未満の個人事業所も適用対象とすることなどを求めてきた。次期年金制度改革に向け、雇用形態や勤務先の事業所の規模などの違いによらず、すべての労働者に社会保険を適用させるための議論をより一段と加速させるべきである。

3.妊娠・出産・子育てなどを経ながら男女がともに就業継続できる環境の整備を
 また、仕事と子育ての両立を支援するため、「育児休業取得の一層の促進と時短勤務を選択する際の支援」とし、希望する方が時短勤務を選択しやすくする給付の創設を検討すべきであると指摘している。介護など他の事由による制度との整合性、要件や効果、費用負担のあり方を含め、慎重な検討が必要である。育児・介護休業法等の周知・徹底をはかることなどを通じて、妊娠・出産・子育てなどを経て男女がともに就業継続できる環境を整備することが求められる。

4.社会全体で支える子育て支援、社会保障制度の確立を
 連合はこの間、全世代型社会保障構築会議でのヒアリングに対応し、育児休業給付、出産育児一時金、社会保険の適用拡大などに関する考え方を述べ、意見反映に努めてきた。「報告書」に記載された諸課題については、引き続き審議会などでの議論が見込まれる。連合は、将来にわたって誰もが安心してくらせるよう、社会全体で支える子育て支援の充実をはじめ、世代を問わず必要な支援が提供される全世代型の社会保障制度の実現に向けて取り組みを強化する。

以 上