事務局長談話

 
2022年12月12日
障害者総合支援法等改正法の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.障がい者の雇用の質の向上と地域移行に向け一歩前進
 12月10日、参議院本会議において、障害者雇用促進法や障害者総合支援法等からなる束ね法案である障害者総合支援法等改正法案が可決・成立した。障害者雇用促進法の改正は、障がい者の能力開発やキャリア向上への事業主による支援の強化や、障がい特性に配慮した多様な働き方の推進など、雇用の質の向上に資するものと受け止める。また、障害者総合支援法については、障がい者等の地域生活への支援体制の充実をはかるなど地域移行を促進するものとして評価する。

2.地域によって差が生じないよう相談体制の整備を
 障害者総合支援法については、一人暮らしを希望する障がい者へグループホーム退去後も支援や相談を実施すること、精神保健福祉法では、精神保健に関する相談支援の対象を精神障がい者のほか精神保健に課題を抱える者に拡大することが盛り込まれた。また、地域の相談支援の中核的役割を担う基幹相談支援センターや緊急時の対応や地域移行の推進を担う地域生活支援拠点等の設置は努力義務となった。いずれも地域によって差が生じないよう整備を進める必要がある。

3.障がい者の多様な就労ニーズに対する支援を評価
 障害者雇用促進法については、障がい者の活躍促進にむけた事業主の責任による能力開発への支援に加え、週20時間未満の短時間雇用の推進や、財政安定に向けた企業への調整金等の抑制、企業ニーズに応じた助成金拡充など、連合が求めてきた事項の改正がなされた点は評価できる。今後は、週20時間以上への移行を希望する労働者の支援の充実や、障害者雇用に取り組めていない企業へのノウハウ支援の強化を含め、障がい者の就労支援や職場定着のさらなる支援の拡充が求められる。

4.障がい者が安心して働き暮らすことのできる社会の実現に向けて取り組む
 今後、各種審議会において、各法の政省令等に関する議論が開始されるが、重度障がい者の通勤支援や、難病患者の就労や定着のための環境整備、療養生活支援の強化に向けた相談体制の充実をはじめとした附帯決議の内容を含め、適切な規定となるよう議論を尽くしていく。また引き続き、連合は、障がいの種類・程度等にかかわらず、希望するすべての者が安心して地域で働きながら暮らすことのできる社会の実現に向けて引き続き全力で取り組んでいく。

以 上