事務局長談話

 
2022年12月02日
2022年度第2次補正予算成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.低所得者など生活困窮者への直接的・即効的な支援としては不十分
 12月2日、総合経済対策の裏付けとなる2022年度第2次補正予算が参議院本会議において可決・成立した。本補正予算には、エネルギーや食料品などの物価高騰により、厳しい状況にある生活者や事業者への手当が一定程度盛り込まれているものの、多くは事業者への補助金である。低所得者など生活困窮者への直接的かつ即効性の高い支援には不十分と言わざるを得ず、残念である。

2.総じて「規模ありき」の補正予算編成
 補正予算総額28.9兆円の内訳を見ると、各種基金の新設・増額をはじめ、財政法で定める補正予算編成の要件である「特に緊要となった経費の支出」とは言い難い支出も含まれており、総じて「規模ありき」で膨張した印象は拭えない。
 とりわけ、2022年度末が近づくこの時期に4.7兆円も増額された巨額の予備費は、国会での議決を経ずに、政府がその使途を自由に決められるため監視の目が届きにくく、政策効果がより一層不透明なものとなる懸念がある。今後、予備費を発動する際は、執行前の国民への丁寧な説明と、政策効果の精緻な検証を求めたい。

3.来年度予算編成において課題解決に向けた政策議論の加速を
 さらに、構造課題を抱えるわが国において、子ども・子育て支援、「人への投資」の抜本強化、GXなど成長分野への大胆な投資など課題解決に向けた予算措置は、本来根拠となる政策と一体的に措置されるものである。一時的・限定的な措置に留めることなく、特に物価上昇を前提とした経済運営や子ども・子育て支援においては、政策議論を一層加速し、2023年度の予算編成において、抜本的かつ恒久的な予算措置が講じられるべきと考える。

4.政府は財政健全化に向けた道筋を示すべき
 今次補正予算の成立に伴い、約23兆円もの国債が追加発行される。赤字国債に依存する財政運営は、将来に負担を先送りしていることにほかならない。将来世代に持続可能な社会を引き継ぐためには、財政健全化が不可欠であり、税財政一体の抜本的な改革とあわせ、中長期的な財政運営の評価・監視を行う独立財政機関を設置するなど、政府は財政健全化への道筋をしっかりと国民に示すべきである。
 連合は引き続き、生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け、政策・制度要求の実現に全力で取り組んでいく。

以 上