事務局長談話

 
2022年11月22日
第5回ITUC世界大会の閉会および新体制発足にあたっての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.混沌とする世界情勢の中で労働者の世界的連帯を再確認できた有意義な機会
 11月22日、オーストラリア・メルボルンで開催されていた第5回国際労働組合総連合(ITUC)世界大会が閉会した。大会では、大会宣言案「新たな社会契約」や時宜をとらえたテーマ別フォーラムでの白熱した議論、規約改正などが行われた。世界の政治経済情勢が混沌とする中、労働運動の国際的なつながりと結束の重要性を再確認し合えた有意義な機会となった。

2.新書記長への期待と連合初となる郷野参与のITUC会長選出
 大会では新執行体制が確認された。3期12年書記長を務めたシャラン・バロウ氏に代わり、新書記長にルカ・ヴィセンティーニ氏が選出された。ITUCに集う組織の団結・連帯を強固にし、困難な課題に果敢に挑戦しながら労働者の力を築くための運動を導いていくリーダーシップの発揮を強く期待する。そして、新会長には、ITUC-AP執行委員会の総意による推薦により、連合の郷野晶子参与が選出された。ITUCの前身である国際自由労連時代を含め、連合出身者が会長職に就くのは初となる。連合のこれまでの国際労働運動への貢献が評価されたものと重く受け止め、組織運営の要としての役割を果たしていく。

3.改正された規約にもとづく国際労働運動の強化が必要
 国際労働運動は、ロシアによるウクライナ侵攻、ミャンマーや香港などにおける民主主義の後退と人権・労働組合権の蹂躙に対し、国際連帯を強化することで、断固立ち向かわなければならない。また、気候変動や技術の進展などの今日的課題は、労働運動にも行動変容を迫っている。ITUCが、これら複雑で困難な課題に取り組むには、なにより加盟組織それぞれの組織基盤と地域における運動を質量ともに強化するとともに、グローバルユニオンやILOとの連携を推進し、それらをグローバルレベルで有機的に統合していくことが求められる。そのため連合は、この間における民主的な組織統治能力の向上、地域組織の強化などをめざした規約改正議論を主導し、今次改正に大きく貢献した。ITUCは、新規約にもとづく諸行動を展開し、国際労働運動をより強化する必要がある。

4.連合は引き続き国際労働運動における役割・責任を力強く果たしていく
 連合は、会長輩出組織として引き続きITUC、ITUC-AP、多くの加盟組織とともに、ITUC大会の決議、地域組織の決定の実現に邁進する。とりわけ、「連合国際労働戦略」にもとづき、すべての労働者のディーセント・ワークの実現や途上国における建設的労使関係の促進に向け、国際労働運動における役割と責任を力強く果たしていく。

以 上