事務局長談話

 
2022年09月27日
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について (とりまとめ)」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.自動車運転者の長時間労働の是正に向けた一歩
 9月27日、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(座長:藤村博之法政大学大学院教授)は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について」をとりまとめた。いずれの業態でも総拘束時間が一定程度縮減され、休息期間も延長されたことは、自動車運転者の長時間労働の是正に向けた取り組みが一歩前進したものと受け止める。一部の特例において緩和となりうる部分もあるが、まずは原則の取り扱いに則った運用の徹底が重要である。

2.全業態で休息期間を延長、拘束時間も縮減となるなど全般的に改善
 とりまとめでは、全業態で休息期間が延長されたほか、年拘束時間については、バス、トラックともに縮減され、タクシーでも年拘束時間の導入は見送られたものの1ヵ月の拘束時間が縮減となるなど、業態を問わず全般的に改善がはかられる内容となった。自動車運転の業務は依然として過労死等が多く、労働者の健康確保や、公衆災害の未然防止の観点からも、新基準適用を待たずに労働時間削減に向けた不断の努力を重ねていくことが不可欠である。

3.実効性確保に向けた監督指導等の徹底と一般則適用に向けた検証・検討を
 トラックについては総拘束時間や休息期間など全体としては改善されたものの、連続運転時間、分割休息や2人乗務の特例の見直しなどに関して一部に緩和となりうる部分もみられる。疲労の回復や睡眠に必要な休息期間が確保できないことによって健康被害や過労運転事故につながることがあってはならず、原則の取り扱いがしっかりと徹底されるよう、改善基準告示の実効性確保に向けた監督指導等の徹底が不可欠である。これらの点を含め、実態把握を行った上で規制水準の検証を行うとともに、早期の一般則適用に向けた検討を進めるべきである。

4.自動車運転者の安全・健康を守る観点から全力で取り組みを進める
 自動車運転者の働き方改革は、現場の労使の取り組みに加え、商慣行の是正など同時並行で解決すべき課題も多く、国交省をはじめ省庁横断的な対応が重要である。また事業者、荷主、一般消費者等すべての関係者が協働し、改革を着実に進めることが不可欠である。連合は、自動車運転者の安全・健康を守る観点から、関係する構成組織との連携のもと、働き方改革の実現に向けた取り組みを全力で進めていく。

以 上