事務局長談話

 
2022年06月24日
女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.男女間賃金格差解消に向けた大きな前進
 労働政策審議会雇用環境・均等分科会(分科会長:奥宮京子弁護士)は本日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく一般事業主行動計画等に関する省令の一部を改正する省令案要綱」および「事業主行動計画策定指針の一部を改正する告示案要綱」について、「妥当」と取りまとめた。これは、常用労働者数が301人以上の企業に対し、一般事業主行動計画が定める「男女の賃金の差異」の把握、公表を義務づけるものである。連合はかねてより「男女の賃金の差異」を必ず把握しなければならない基礎項目とすることを主張しており、本改正は男女間賃金格差の是正に向けた大きな前進と受け止め、極めて意義が深いと考える。

2.公表だけでは格差は解消されない
 連合は、労働組合自らの取り組みとして、男女間賃金格差の是正を春季生活闘争の方針に掲げ、賃金のみならず男女間格差の実態や要因を把握し分析する取り組みを進めてきた。男女間賃金格差の是正に向けては、性差、職種の違い、勤続年数や雇用形態の違いなどに関係なく、賃金分布と職務の客観的な分析と性に中立な評価によって職務の価値を数値化し、公正な賃金と雇用を実現することが重要である。男女の賃金の差異の公表だけでなく、実態の分析や対話による課題の洗い出しなどがなければ根本的な解消には結びつかない。あわせて、男女間賃金格差は企業規模にかかわらず是正されるべきものであり、義務化の対象とならない300人以下の企業についても、男女の賃金の差異を把握し、実態を分析する必要がある。

3.官民一体的な取り組みでスピード感を持った取り組みが必要
 一方で、急な形で改正の議論が行われたこともあり、本来の意義を理解しないまま賃金の差異に関する数値のみがクローズアップされてしまう懸念が残る。また、一般事業主行動計画は民間企業が対象であるが、公務部門においても民間と同様のスピード感を持ち、特定事業主行動計画において男女の賃金の差異を把握、公表することで、官民が一体で取り組みを同時期に行うべきである。

4.格差解消のためPDCAサイクルの着実な実行と労使の話し合いを
 一般事業主行動計画には定期的に数値目標の達成状況や行動計画にもとづく状況を把握・分析し、課題を洗い出す不断の取り組みが求められている。このPDCAサイクルを確立させるためには、労使委員会や労使協議といった現場の体制整備が欠かせない。連合は、ジェンダー平等や真の多様性に向けた法整備と職場レベルの対話を重視し、ジェンダー主流化を意識しながら、すべての働く仲間とともに「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、引き続き全力で取り組む。

以 上