事務局長談話

 
2022年06月08日
ILO第105号条約(強制労働廃止)批准の国会承認に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.条約批准の国内手続完了を歓迎
 6月8日、参議院本会議において「強制労働の廃止に関する条約(第百五号)の締結について承認を求めるの件」が全会一致で承認された。2021年6月9日に条約批准のための「整備法案」が成立し、批准に向けた早期の国内手続の完了が待たれていた。日本政府は今後、ILO事務局長に批准書を寄託し、その後に条約批准の効力が発生することとなるが、まずは今般の国内手続の完了を歓迎する。

2.すべてのILO中核条約の批准と適切な実施が必要
 「仕事の世界」で守られるべき最低限の基準であるILOの8つの国際的労働基準(中核条約)の位置づけは、世界的に高まっている。各国で、中核条約に違反する国や企業の行動に厳しい視線が注がれ、生産過程で人権侵害を助長する原材料・産品の調達・貿易を規制する動きが広がりつつある。国内でも、日EU経済連携協定や、政府の「ビジネスと人権」に関する行動計画において、中核条約の批准に努力する項目が盛り込まれている。こうした中、ILOの主要加盟国でありながら中核条約の未批准がある状態では、世界から日本は人権尊重に後ろ向きであるとの評価を受けかねない。ディーセント・ワーク実現に関する姿勢を明確にするためにも、日本においても中核条約は8本すべて批准し、適切に実施する必要がある。

3.連合は第111号条約の早期批准に向けて取り組む
 第105号条約の批准により、日本が批准していない中核条約は第111号条約のみとなる。2019年6月に衆参両院で全会一致により採択された「ILO創設100周年決議」には「基本条約の批准に向けた引き続きの努力」が盛り込まれていることも踏まえ、政治のリーダーシップで批准に向けた取り組みを加速化させなければならない。連合も「ILO議連」を中心とした立法府への働きかけ、日EU経済連携協定の実施に際しての欧州の労働組合組織との連携、職場の労使関係を通じた「ビジネスと人権」課題への対応などを通じ、第111号条約の早期批准に向けた取り組みを引き続き進めていく。

以 上