事務局長談話

 
2022年05月31日
2022年度補正予算成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.予備費発動には国民への丁寧な説明と効果検証が不可欠
 5月31日、緊急経済対策を盛り込んだ2022年度補正予算が参議院本会議において可決・成立した。本予算には、原材料やガソリン・食料品など急速に進んだ物価高騰への対処として、石油元売りへの補助金の延長・拡充や低所得の子育て世帯への給付金など生活困窮者支援策が含まれており、機動的な補正予算編成には一定の理解を示せるものである。
 一方で、今回の補正予算総額2.7兆円のうち、1.5兆円を予備費に充てるとしている。予備費は国会での議決を経ずに、政府がその使途を自由に決められるため、監視の目が届きにくい。また、既に予算化されたものと明確に区分して管理がなされていないため、政策効果がより一層不透明なものとなる懸念がある。したがって、予備費の発動にあたっては、財政規律の維持、強化の観点からも、国民への丁寧な説明や政策効果の精緻な検証が不可欠であるが、充分な議論が尽くされたとは言えず残念である。

2.生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け引き続き全力で取り組む
 経済活動の再開による世界的な需要拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻の長期化による地政学的リスクの高まりなどから、資源や穀物価格を中心とした物価上昇圧力が一段と強まり、今以上に家計や中小企業経営を脅かすことが懸念される。
 国民の命とくらしを守るためにも、経済運営の安定にむけて、急速な円安の進行に目を配りつつ、引き続き、機動的な財政措置を検討していくべきである。
 同時に、人口減少に歯止めがかからない我が国において、持続可能な社会を将来世代に引き継ぐには、財政健全化が必要不可欠である。税財政一体での抜本的な改革とあわせ、中長期的な財政運営の評価・監視を行う独立財政機関を設置し、財政健全化への道筋を国民に示すべきである。
 連合は、すべての働く仲間を守り、生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け、政策・制度要求の実現に引き続き全力で取り組んでいく。

以 上