事務局長談話

 
2022年05月17日
全世代型社会保障構築会議の「中間整理」に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.全世代に向けた社会保障制度の検討をさらに深めることが必要
 政府の「全世代型社会保障構築会議」は5月17日、「中間整理」を公表した。「中間整理」には、厚生年金や健康保険の加入対象を広げる「勤労者皆保険」の実現、子育て支援策としての育児休業制度の着実な推進などが盛り込まれている。フリーランスなど「曖昧な雇用」で働く人たちを含めた社会保険の適用拡大、育児休業の取得日数の男女間格差の縮小などの指摘は重要である。しかし、子育て・若者世代に向けた「未来への投資」が必要としながらも財源の記載がないなど不十分な点がある。将来を見通した「全世代型社会保障」について、今後さらに検討を深めることが必要である。

2.すべての労働者に社会保険を
 「中間整理」では社会保険について、週20時間以上の短時間労働者に適用される企業規模要件の撤廃を含めた見直しの検討などを求めている。連合は企業規模要件を撤廃し、労働時間要件(週20時間以上)または年収要件(給与所得控除の最低保障額以上)のいずれかに該当すれば社会保険を適用させること、社会保険の非適用業種を撤廃し常時5人未満の個人事業所も適用対象とすることなどを求めてきた。雇用形態や勤務先の事業所の規模などの違いによらず、すべての労働者に社会保険を適用すべきである。

3.雇用形態にかかわらずすべての人が安心して子育てできる制度を
 また「中間整理」では「持続可能な社会保障制度を将来世代に伝え」るため、「『子育て・若者世代』への支援」が喫緊の課題と指摘し、子育て支援の拡充や女性の就労促進、家庭の介護負担軽減などに重点が置かれている。しかし、その施策の対象はいわゆる「正社員」を念頭に置いており、非正規雇用やフリーランスなどすべての働く人が安心して使える制度としなければ、持続可能とは言えない。

4.社会全体で支える子育て支援、社会保障制度の確立を
 連合が子育て世帯の声を聴く「子ども・子育てサロン」の取り組みで行った「アンケート調査(2022年1月7日~2月6日)」では「仕事と育児の両立が難しい」といった意見が出されていた。連合は引き続き、「子ども・子育てサロン」などで集まった働く者や生活者の声を踏まえ、社会全体で支える子育て支援の充実、誰もが安心・納得できる全世代支援型社会保障制度の実現に向けて取り組みを強化する。

以 上