事務局長談話

 
2022年04月12日
「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」報告書に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.不当解雇を正当化しかねない制度は断じて認められない
 本日、厚生労働省の「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」(座長:山川隆一東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、報告書をとりまとめた。検討会は、解雇が無効であることを前提として、労働者のみが申し立てることのできる制度を仮に導入するとした場合の法技術的な仕組みや選択肢等について、検討を行ってきた。報告書は、解雇された労働者の救済の実効性を高める観点から検討したとするが、不当な解雇が起こらない状況こそ実現すべきである。不当解雇を正当化し、リストラの手段として使われるようなおそれのある制度は断じて認められない。

2.紛争解決に関する新たな制度を創設する必然性は乏しい
 報告書は、「基本的な考え方」として、「制度を選択する労働者がどのようなメリットがあるかを理解した上で判断できるようにすることが不可欠」であり、①労働者の選択による権利行使、②労働者にとっての予見可能性の向上、③紛争の1回的解決が可能な仕組みとして検討を行ったとする。しかし、報告書で示されている「金銭的予見可能性」や、「時間的予見可能性」は、使用者にとってのメリットにほかならない。労働審判をはじめとした現行の紛争解決システムが有効に機能していることを踏まえれば、新たな制度を創設する必然性は乏しい。

3.労働者保護のため制度導入阻止に向けて取り組む
 連合はかねてより、不当解雇であっても会社が解決金さえ支払えば解雇できる制度は、一体誰を救済するためのものか全く理解できないと主張してきた。労働者保護のために必要なことは、不当に解雇されず、労働関係法令が遵守され、安心して働き続けることのできる職場環境、社会の構築である。連合は、本来守られるべき労働者の地位を蔑ろにする解雇の金銭救済制度に断固として反対するとともに、構成組織・地方連合会と一体となり、導入阻止に向け取り組んでいく。

以 上