事務局長談話

 
2022年03月30日
雇用保険法等改正法の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.雇用保険法の国庫負担割合の見直しは極めて遺憾
 3月30日、参議院本会議において、雇用保険法・職業安定法(職安法)・職業能力開発促進法(能開法)などの束ね法案である雇用保険法等改正法案が可決・成立した。職安法および能開法の改正は、デジタル化への対応や地域ニーズにもとづく公的職業訓練の検討など、円滑な就職活動や労働者の学び直しに向け、一歩前進といえる。一方、雇用保険法における失業等給付の国庫負担割合は、「早期に1/4に戻す」とした過去の附帯決議を反故にし、現行の1/40が原則となるもので、極めて遺憾である。

2.附帯決議を踏まえ、新たな国庫繰入制度の機動性・実効性の早期確保に取り組む
 衆議院では、立憲民主党・国民民主党・有志の会より、連合の考え方を踏まえた雇用保険法に関する修正案が共同提出された。修正案は、委員会で賛成少数により否決されたが、衆参での法案審議を経て「失業等給付の国庫負担割合を1/4に戻す措置も含めた検討」や「新たな国庫繰入制度の運用に関する考え方の規定化の検討」を含む重要な附帯決議(衆議院:10本・参議院:20本)につながった。法案審議における立憲民主党・国民民主党議員の尽力に敬意を表する。連合は今後、附帯決議の確実な履行を政府に強く求め、新たな国庫繰入制度の機動性・実効性の早期確保や、国庫負担割合の1/4への回帰についても継続的な課題として取り組む。

3.職業安定法・職業能力開発促進法の改正は評価
 職安法における募集情報等提供事業者の定義拡大および法適用に加え、能開法では、地域で活躍できる人材の育成に向け、地域に即した公的職業訓練を検討・実施する協議会の法定化など、連合が求めてきた事項の改正がなされた点は評価できる。また、衆参の本会議・厚生労働委員会質疑で引き出された答弁は、今後の労働政策審議会における議論の糧となるものであり、答弁および附帯決議を足掛かりとして、求職者保護および効果的な人材育成の実効性を高めるため、引き続き取り組んでいかなければならない。

4.労働政策審議会での今後の議論を尽くす
 今後、労働政策審議会では、各法の政省令や指針に関する検討が開始される。連合は、附帯決議に付された内容を含め、適切な規定となるよう議論を尽くす。また、雇用保険法については、育児休業も含めた制度の給付内容・費用負担・財政運営のあり方など、総合的な検討も行われることとされており、雇用保険制度が将来にわたり労働者の雇用のセーフティネットとして機能していくよう全力で取り組む。

以 上