事務局長談話

 
2022年03月22日
2022年度税制改正関連法の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.税制の抜本改革に向けた議論が深まらないまま成立に至ったことは残念
 3月22日、「所得税法等の一部を改正する法律案」をはじめとする税制改正関連法案が、参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。本法案には、「賃上げを行う企業に対する税制支援の拡充」や「オープンイノベーション促進税制の拡充」などが盛り込まれた。昨年の与党税制改正大綱の中で今後の検討課題とされた金融所得課税の強化や自動車関係諸税の抜本的な見直しなど、税制の抜本改革に向けた議論が深まらないまま、成立に至ったことは残念である。

2.税による所得再配分の強化と低所得者支援の充実を
 コロナ禍により貧困の固定化と格差の拡大が一層進む中、税による所得再分配機能の強化と低所得者支援の充実は喫緊の課題である。所得再分配の強化をはかる上で、金融所得課税の強化は避けて通れない重要な課題であり、将来的な総合課税化を見据えつつ、早急に税率引き上げに取り組むべきである。また、効果的・効率的な低所得者対策として、マイナンバー制度を活用した「給付付き税額控除」の仕組みを構築すべきである。

3.ガソリン小売価格への直接の改善につながるトリガー条項の速やかな発動を
 原油価格の高騰が家計や中小企業の経営に大きな影響を与えている中で、トリガー条項の発動は見送られたことは大変残念である。世界情勢の不安定化もあって、燃料価格の動向は予断を許さない状況にある。石油元売り会社への補填である補助金適用に加え、ガソリン小売価格の高騰抑制を目的として設けられたトリガー条項を速やかに発動すべきである。
 一方で、トリガー条項の発動に伴う地方財政への影響が想定されるため、税制全体の見直しによって、必要な税財源を確保すべきである。

4.連合は「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組む
 中長期的に持続可能な経済・社会を実現するため、税財政の抜本改革をこれ以上先延ばしすることはできない。連合は引き続き、政府・政党への要請、政府税制調査会での意見反映、連合フォーラム議員との連携などに取り組み、働く者・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組んでいく。

以 上