事務局長談話

 
2022年02月09日
2022年度診療報酬改定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長  清水 秀行

1.医療機能の分化・連携の一層の推進など概ね評価できる内容
 厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は2月9日、2022年度診療報酬改定に関する厚生労働大臣からの諮問に対して答申を行った。入院・外来医療の機能分化・連携やオンライン診療の推進、不妊治療の保険適用、ヤングケアラー支援、リフィル処方箋の導入など、患者・労働者・被保険者それぞれにメリットが期待できる改定内容であり、概ね評価できる。

2.受診行動の変容を促す周知啓発と受診機会の確保を
 連合は、患者の状態や医療機関の機能に応じたメリハリある評価を求めてきたところ、入院医療では、急性期入院医療の必要性に応じた評価とすべく、重症度、医療・看護必要度の要件が見直されることになり、医療の充実と医療従事者の負担軽減が期待される。外来医療では、「かかりつけ医」に関する加算に在宅対応などの機能や実績の要件が追加されることは、患者の安心と医療費の適正化の観点から評価できる。なお、紹介状なしでの受診時に一定額を徴収する窓口定額負担の医療機関の対象拡大と紹介受診重点医療機関の新設については、機能分化・連携の趣旨を国民に周知啓発するとともに、生活困窮者や医療資源の少ない地域の住民について、受診機会確保への配慮が求められる。

3.不妊治療など施行状況を検証し、必要な見直しを
 不妊治療の保険適用については、患者の安全性の確保と医療の標準化が期待されるとともに、連合が求めた心理的ケアや社会的支援が含まれたことを評価する。明細書の無料発行については、今次改定で前進は見られなかったが、2024年中に訪問看護レセプトの電子請求が始まることなどを踏まえ、患者への情報提供の促進、医療の透明化の観点から、すべての医療機関で例外なく義務化すべきである。今後、新型コロナウイルス感染症による医療現場への影響を含め、報酬改定の施行状況を丁寧に検証し、必要な見直しを行うことが求められる。

4.質の高い患者本位の医療を支える医療従事者の継続的な処遇改善を
 医療従事者の処遇改善は、質の高い患者本位の医療の実現に不可欠である。10月以降の看護職員の処遇改善について、連合は、賃金に確実に反映される仕組みの構築の実現に全力で取り組んでいく。

以 上