事務局長談話

 
2022年01月26日
ベルコ事件 札幌高裁和解の成立に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.一審敗訴からの高裁和解の成立は大きな成果
 冠婚葬祭大手「ベルコ」の代理店で労働組合を結成しようとした従業員2名が実質解雇され、地位確認等を求めてベルコ本社を相手に提訴した裁判において、第一審の札幌地裁では原告側敗訴となったが、1月26日に札幌高裁で和解が成立した。
 北海道労働委員会でのベルコの使用者性を認めた救済命令(2019.6.13)もあり、第一審の労働実態を顧みない契約形式のみにとらわれた司法判断(2018.9.28)から一転し、北海道労働委員会命令を前提としたベルコの責任を認めたうえで、和解が成立したことは大きな成果である。

2.高裁和解が中央労働委員会での解決につながることを期待
 高裁和解の成立によって、並行して審理が進められている中央労働委員会においても解決に向けた機運の高まりが期待される。ベルコにおいて労働組合の存在が認められ、労働組合法を遵守した健全な労使関係が構築できるよう、高裁和解の流れを中央労働委員会につなげるべく、連合は引き続き全ベルコ労働組合を支援していく。

3.ベルコに健全な集団的労使関係の構築を
 ベルコの使用者性を認めた北海道労働委員会命令を踏まえ、原告2名が職場復帰することは全ベルコ労働組合の活性化に確実につながる。さらには、ベルコに関する他の訴訟などへの波及も大いに期待できるものである。連合は、引き続き、全ベルコ労働組合、上部団体である情報労連、連合北海道と連携し、ベルコに健全な集団的労使関係を構築し、ベルコで働く全国の仲間が働きがいや誇りを感じて働くことができる環境づくりに取り組めるよう広く連帯を呼びかけていく。

4.ナショナルセンターの責務として曖昧な雇用で働く者の権利保護を推進する
 連合は、2015年7月の札幌地裁への提訴以来、業務委託契約を濫用し使用者責任を逃れようとするビジネスモデルを決して許さないとの認識のもと、粘り強く裁判や労働委員会に対応するとともに、街宣活動など幅広く社会に訴える運動を展開してきた。近年は、プラットフォームビジネスの進展もあり、「雇用によらない働き方」や「曖昧な雇用」で働く就業者が拡大し、労働関係法令では保護されない事例が増加している。連合はナショナルセンターの責務として、こうした就業者の法的保護の実現、「Wor-Q(ワーク)」を活用した新たなつながりの構築、そして、組織拡大により集団的労使関係の輪を広げるべく取り組みを強化していく。

以 上