事務局長談話

 
2022年01月21日
核拡散防止条約(NPT)に関する「日米共同声明」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.声明にもとづく具体的な取り組みを要請する
 日米両政府は1月21日、核拡散防止条約(NPT)に関する「日米共同声明」(以下、声明)を発表した。NPTに関する声明の発表は、2009年、2015年に続き3回目となる。本声明では、NPTは核兵器の拡散防止や全面的な廃絶のために不可欠であるとの認識とともに、NPT全締約国に対して次回のNPT再検討会議で意義ある成果を出すための貢献を要請している。また、中国に対して初めて言及し、核戦力の透明性向上や核軍縮の進展を求めている。連合は、日米両国に対し、本声明にもとづく具体的な取り組みを強く要請する。

2.広島・長崎への世界の政治指導者の訪問を期待
 本声明に先立つ今年1月3日には、核兵器を保有する米国、ロシア、中国、英国、仏国の5カ国が、「核戦争に勝者はいない」などとして核軍縮に努めていく姿勢を強調する共同宣言を発表している。本声明では、核兵器保有5カ国による共同宣言の発表を歓迎するとともに、世界の政治指導者らに広島・長崎への訪問を要請している。政治指導者が被爆地において核兵器による惨禍の実相を直視することは、核軍縮を進める上で極めて重要であると考える。

3.北朝鮮の核・ミサイル開発の停止に向け国際社会は結束を
 また、本声明では、北朝鮮のすべての核兵器や大量破壊兵器などの、検証可能で不可逆的な廃棄を実現するため、日米両国が強く関与していくことも明記されている。北朝鮮は、今年に入り、日本海に向けて短期間に4回、合わせて6発のミサイル発射を強行している。北朝鮮の一連の行為は、断じて許されるものではない。核実験や弾道ミサイル計画に関するすべての行動の即時停止と国連安保理決議の完全履行に向け、国際社会の結束した取り組みを求める。

4.連合は核兵器廃絶のために引き続き取り組む
 連合は開催が延期された2020年4月のNPT再検討会議に向けて、原水禁、KAKKINの3団体で「核兵器廃絶1000万署名」に取り組み、824万筆超の署名を国連と日本国政府に提出した。今後も、広島や長崎における平和行動をはじめ、国際労働組合総連合(ITUC)などを通じ、核兵器による被爆の悲惨な体験を広く国際社会に訴えるなど、引き続き関係団体と連携し、あらゆる機会をとらえて核兵器廃絶に向けた世論喚起などに取り組んでいく。

以 上