事務局長談話

 
2021年12月24日
「2022年度政府予算案」の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.国民生活の安定と、経済成長、雇用の創出につながる予算配分とすべき
 12月24日、政府は一般会計総額を当初予算としては過去最大の107.6兆円とする2022年度予算案を閣議決定した。コロナ禍への対応に加え、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現に取り組むとし、12月20日に成立した2021年度補正予算と一体編成されたが、総じて規模ありきの印象は拭えない。真に、国民生活に安定をもたらし、経済成長や新たな雇用創出につながる施策に、限りある財源を集中するべく、次期通常国会での与野党の真摯な議論を通じた精査・修正を求める。

2.雇用保険の国庫負担割合を早急に本則に戻すべき
 労働者が失業した場合などに支払われる失業等給付の雇用保険料率は、来年度上期は現行どおり0.2%だが、下期は0.6%と大幅に引き上げられる。一方で国庫負担割合は、今後も大幅に引き下げられた2.5%の水準を継続するとしており、極めて遺憾である。雇用保険の国庫負担は雇用政策の担い手としての政府の責任を示すものであり、まずは早急に本則の25%に引き上げるべきである。
 また、休業した労働者の賃金の一部を事業主に支払う雇用調整助成金などの予算は、年度内に枯渇することは必至である。一般会計の予備費の繰り入れなど機動的に実施する必要があり、そのための仕組みづくりが不可欠である。

3.社会保障サービスを担う人材確保に向けた賃金改善と学びの質的向上を
 社会保障については、医療・介護・保育などのサービスを担う人材確保を進めるため、現場で働くすべての労働者の賃金が継続的かつ確実に改善される仕組みの構築が急務である。2022年度診療報酬改定率は全体で0.94%減となったが、安心・安全で質の高い患者本位の医療の確保に向けては、医療従事者の処遇改善、入院等医療機関のさらなる機能分化と連携強化、かかりつけ医が果たしている役割に応じた評価、患者の利益につながるイノベーション推進などの診療報酬等改定が求められる。
 また、GIGAスクール運営支援センター整備事業が新たに盛り込まれたが、さらなる少人数学級の推進や教員の負担軽減などを通じた、学びの質的向上が必要である。

4.生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け引き続き全力で取り組む
 コロナ禍を乗り越え、持続可能な社会を実現するためには、デジタルやグリーンを軸とする成長分野への投資とともに、基盤となるセーフティーネットの確立、格差是正につながる項目に重点的に予算配分する必要がある。加えて、将来世代への責任を果たすためには、社会保障と税の一体改革とあわせ、中長期的な財政運営の評価・監視を行う独立財政機関を設置し、財政健全化への道筋を国民に示すべきである。
 連合は、すべての働く仲間を守り、生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け、政策・制度要求の実現に引き続き全力で取り組んでいく。

以 上