事務局長談話

 
2021年09月22日
労働協約の地域的拡張適用に係る厚生労働大臣の決定・公告に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.労働協約の地域的拡張適用へ道を拓く
 9月22日、厚生労働大臣は、労働協約の地域的拡張適用の決定に関する公告(以下「公告」)を発出した。これは、労働協約の地域的拡張適用制度(労働組合法第18条)にもとづき、大型家電量販関連の3労働組合がその使用者と連名で締結した「年間所定休日に関する労働協約」(以下「協約」)を、協約当事者以外の対象企業にも適用するものである。全国展開の企業に対して地域的拡張適用を行う初の決定であり、連合を結成して以来、初めてのケースである。当該制度活用への道を拓き、より多くの働く者の労働条件向上につながるものとして、高く評価する。

2.拡張適用にあたっては、協約当事者の労使自治が尊重されるべき
 「公告」は、「協約」の内容を反映し、対象地域内の「大型家電量販店」に雇用される「無期雇用フルタイム労働者」の年間所定休日日数を111日以上とするよう定めた。他方、対象地域は、中央労働委員会の決議により、「協約」に関与していない労使への説得性などの観点から、「協約」が定める地域(茨城県全域と隣接県の一部市町村)を修正し、茨城県全域とされた。労働組合法第18条は、拡張適用の対象地域の選定を協約当事者の労使自治に委ねていることから、本来は労使の選択が尊重されるべきである。

3.集団的労使関係の成果を、より多くの働く仲間に波及させる
 今般の決定は、個別労使が締結した労働協約が、協約当事者のみならず、未組織労働者の労働条件の維持・向上にも影響を及ぼすことを示すものであり、労働者間、使用者間における公正な競争条件の整備にも資するものである。管轄の労働基準監督署においては、「協約」の遵守に向けて、本件にかかる相談対応および監督指導の徹底が求められる。連合は、集団的労使関係の成果をより多くの働く仲間に波及させるべく、組織拡大に向けた不断の努力とともに、構成組織等と連携して労働協約の地域的拡張適用に、全力で取り組む。

以 上