事務局長談話

 
2021年07月30日
新たな「過労死等防止対策大綱」の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.施策の進捗を踏まえた実効性向上のための取り組みが示される
 7月30日、政府は新たな「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、「大綱」という)を閣議決定した。この間、各種の取り組みが進められたが、勤務間インターバル制度導入の数値目標が未達に終わるなど、施策の進捗が不十分な分野が見られた。新たな「大綱」では、より実効性ある施策の展開や、中小企業における取り組みの向上、公務員への対策の強化、コロナ禍における働き方の変化への対策などが新たに明記された。

2.ハラスメント対策の充実や多様な働き方への対策が盛り込まれたことは評価
 新たな「大綱」では、コロナ禍の労働時間等の状況を踏まえた過重労働対策の推進や、AIやDX等の先端技術の進展が労働時間等に与える影響の分析、テレワークなど多様な働き方への対策が盛り込まれた。さらに、カスタマーハラスメントを含むハラスメント防止対策や、メンタルヘルス対策の強化も示された。加えて、公務員についても各数値目標の趣旨を踏まえた取り組みを推進することとし、過重労働防止等に向けた対策が具体的に盛り込まれた。これらは、この間の過労死等防止対策推進協議会の議論を踏まえたものであり、評価できる。

3.目標達成に向けて、企業規模や業種の特性に応じた対策が肝要
 「大綱」には、2025年までに、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合を15%以上とすることや、そのための中小企業支援策も盛り込まれた。目標の早期達成に向け、実態を把握したうえで、企業規模や業種の特性に応じた対策を講じる必要がある。また、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」の周知徹底をはかることが示されたが、「労働者」概念自体を見直し、「曖昧な雇用」で働く就業者への法的保護の拡充を早急にすすめるべきである。

4.過労死等ゼロを実現するため、労働組合として全力で取り組む
 この間の取り組みにもかかわらず、過労死・過労自殺は依然として防止できていない。これ以上、過重労働等により心身の健康が損なわれ、また、尊い命が失われることがあってはならない。労働組合は、働く仲間から寄せられる声に真摯に耳を傾け、長時間労働の削減や、ハラスメントのない職場づくりに力を尽くす必要がある。連合は、構成組織・地方連合会とともに、過労死等ゼロを実現するため、全力で取り組んでいく。

以 上