事務局長談話

 
2021年05月21日
子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の可決・成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.児童手当の特例給付の一部廃止は遺憾
 「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案」が5月21日、参議院本会議において与党などの賛成多数により可決・成立した。所得が一定以上の者を児童手当の支給対象外とすることは、働く者に対する子ども・子育て支援の後退であり遺憾である。子どもの成育環境を問わず等しく給付されるよう、子どもの最善の利益を保障する児童手当制度を構築すべきである。

2.深刻な少子化を直視し、子ども・子育ての安定財源の確保を
 児童手当の一部廃止により捻出された財源は、2024年度末までに約14万人分の受け皿を整備するとした「新子育て安心プラン」の実施に充てるとされている。政府は、幼児教育・保育・子育て支援の質・量の充実に必要な1兆円超の財源の確保を国会から求められている。それにもかかわらず、十分な財源を確保しないまま、子育て世帯間の所得移転で対応することは不誠実と言わざるを得ない。政府および国会は、少子化に歯止めがかからない現状を直視し、子ども・子育てを社会全体で支えるため、安定財源の確保と全世代支援型の社会保障の実現に取り組むべきである。

3.保育の質の向上に不可欠な保育士等の処遇および配置基準を改善すべき
 待機児童の解消のための、保育所の施設設備基準や職員配置基準の引き下げ、こうした基準の定められていない企業主導型保育事業の推進により安全性が担保されず、保育の質の低下が著しい。安心して子育てをしながら働けるよう、政府は附帯決議を踏まえ、保育士や放課後児童支援員のさらなる処遇改善を行うとともに、1・4・5歳児の職員配置基準を早期に見直し業務負担の軽減を行い、働き続けられる職場環境を整備すべきである。

4.誰もが安心して子どもを育てられる社会の実現に取り組む
 働き方や世帯態様が多様化する中、希望する誰もが安心して妊娠・出産・子育てをするためには、保育サービスの充実と経済的負担の軽減が欠かせない。また、新型コロナウイルスの感染拡大は、子どもと子育て世帯にさまざまな影響を及ぼしており、オンラインの活用を含めた相談支援の充実も求められる。連合は、働く者や生活者の誰もが安心して子どもを生み育てられる社会の実現をめざし、附帯決議に盛り込まれた事項の具体化に向けて積極的に取り組んでいく。

以 上