事務局長談話

 
2021年01月27日
新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.罰則規定をはじめ、法案に対する丁寧かつ慎重な議論が必要
 政府は1月22日、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、国会に提出した。長期化する新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療提供体制がひっ迫し、社会経済活動への影響が甚大となっている。収束に向けた迅速な対策の必要性は論を俟たないが、国民の自由と権利に制限が加えられる場合に、その制限は必要最小限のものでなければならない。与野党による修正協議が続けられているが、国会審議においては、罰則規定をはじめ、丁寧かつ慎重に議論を重ね、効果的な感染拡大防止につながるようにすべきである。

2.事業者への十分な補償を講じるべき
 「まん延防止等重点措置」については、事前の国会報告が必要である。また、対象地域を指定して、都道府県知事が事業者に休業や営業時間短縮を命令することができ、命令に違反した場合の公表や過料を科すことができるとする点については、雇用労働者の生活への影響が危惧される。これまでの営業時間短縮等要請でも、営業を制約される飲食店などの事業者のみならず、サプライチェーンに連なる納入業者、生産者などをはじめ、幅広い範囲に余波が及んでいる。コロナ禍の長期化により、さらなる経営環境の悪化が懸念される中、企業規模にかかわらず、十分な補償が必要である。

3.医療提供体制の整備とともに差別・偏見の防止に向けた強力な啓発を
 感染症法等の改正案では入院措置に応じない場合等に刑事罰を科すことができるとされるが、仕事や子育て、介護などの事情で、すぐに入院や宿泊療養ができない場合もある。感染の申告を控えることで感染拡大を招くことにもなりかねない。感染防止に必要なのは、感染者が必要な治療を受けられる体制の確保や安心して療養生活ができるための環境整備である。また、罰則を伴う強制は、国民の不安や差別、偏見をなお一層助長する懸念がある。こうしたことのないよう、実効性の高い啓発が求められる。

4.すべての働く者の安心確保に向け、引き続き取り組む
 法案審議においては、一丸となってコロナ禍を乗り越えていくという、国民的コンセンサスの形成につながる建設的な議論を求めたい。連合は、連合フォーラム議員と連携しながら、通常国会における関連法案への対応を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の早期収束とすべての働く者の安心確保のため、政策実現活動や職場労使における対策の徹底、労働相談活動などに全力で取り組む。

以 上