事務局長談話

 
2020年12月25日
政府の「第5次男女共同参画基本計画」閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.選択的夫婦別氏制度の消極的記述は遺憾
 12月25日、政府は「第5次男女共同参画基本計画」を閣議決定した。策定にあたり、約5,600件のパブリックコメントをはじめ、国民から寄せられた意見が少なからず反映されたことは評価する。しかし、過去の基本計画で掲げられた目標の多くが未達成であり、その実現に向けた具体的な対策が急がれる。また、国民世論で実現を望む声が高まる選択的夫婦別氏制度については、紆余曲折を経て、消極的な記述にとどまった。政府は、国民の声に耳を澄ませて早期に実現すべきである。

2.「202030」の断念は無責任と言わざるを得ない
 2020年は、わが国で男女雇用機会均等法が成立し、それを背景に女性差別撤廃条約を批准した1985年から35年目にあたる。また、2003年には「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に占める女性の割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する(202030)」との目標が設定された。しかし、今回、「この目標は必ずしも社会全体で共有されなかった」として「2020年代の可能な限り早期に30%程度となるよう目指して取組を進める」と先送りされた。政府として十分な議論もなく目標達成を断念し、曖昧な記載にとどめたのは無責任と言わざるを得ない。世界の潮流は「203050」であり、今次基本計画の停滞は許されない。

3.新たな基本計画の着実な実施に向け、実効性のあるポジティブ・アクションを
 連合は男女共同参画会議やパブリックコメントにおいて、なぜ「202030」が達成できなかったのか精査のうえ、新たな数値目標を設定し、実効性ある措置を講じることなどを求めてきた。各分野におけるクオータ制は過去、幾度も議論テーマとなったものの、今なお実現の目途が立たず、指導的地位に占める女性割合や男女間賃金格差に十分な改善が見られない。政府は新たな基本計画の着実な実施に向け、実効性のあるポジティブ・アクションを進める必要がある。

4.誰もが安心して働き続けられる男女平等参画社会の一日も早い実現を
 2020年9月、連合は「第4次男女平等参画推進計画」の計画期間を1年延長し、2021年までには実現するとの決意で、「第4次男女平等参画推進計画」プラスを策定した。連合は、多様性が尊重され、誰もが安心して働き続けられる男女平等参画社会の実現に向け、政府に対して今次基本計画の速やかな実行を求めるとともに、自らも労働組合活動における女性参画のさらなる促進や、固定的性別役割分担意識の払拭に向けた取り組みを継続・強化していく。

以 上