事務局長談話

 
2020年12月07日
第203臨時国会閉会にあたっての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.十分な論議が尽くされたとはいえず極めて遺憾
 10月26日に召集された第203臨時国会は、41日間の会期を終え12月5日に閉会した。新型コロナウイルスの感染が再拡大し雇用情勢も悪化する中、国民の不安を払拭しうる十分な対策が施されないまま閉会となった。今国会は菅新政権の発足、新たな立憲民主党・国民民主党の結党後初の国会として、with/afterコロナへの対応など短期・中長期の課題に関する本格論戦が期待された。しかし、党首討論も開催されないなど十分な論議が国民に示されなかったことは極めて遺憾である。政府・与野党は政治の果たすべき役割を強く自覚し、国権の最高機関たる国会の場でその責務を全うすべきである。

2.政府・与党には真摯な国会対応を求める
 所信表明演説で菅首相は「国民のために働く内閣」を標榜し、国民の関心が高い個別政策の実行を明言したが、めざすべき社会像の提起はもとより、喫緊の課題であるコロナ対策では感染防止策と経済を両立させる有効な手立てを講ずるには至っていない。日本学術会議の任命問題や「桜を見る会」をめぐる問題などについても説明責任が十分に果たされたとはいえず、国民の政治不信を払拭すべく真摯な対応を求める。また、与党は、先の通常国会に続き、野党の会期延長の求めに応じなかった。コロナ禍において、審議の即応性や活性化の観点から実質的な国会通年化の必要性は高まっており、国会における早期の検討が求められる。

3.立憲民主党・国民民主党には国民の期待に応える取り組みを求める
 野党第一党の立憲民主党は、枝野代表が代表質問でめざすべき社会像を示しながら論戦を展開するとともに、立憲民主党と国民民主党は相互の連携のもとコロナ対策の実効性を高めるための議員立法を提出した。しかし、こうした建設的な政策論争に取り組む姿が、政府・与党の疑惑追及の陰に隠れ、注目されなかったことは残念である。立憲民主党および国民民主党には、様々な困難に直面する国民に寄り添い、明るい未来が展望できる取り組みと発信強化を期待する。

4.連合は引き続き持続可能で包摂的な社会をめざす
 新型コロナウイルス感染症の動向が予断を許さない中、連合は、構成組織・地方連合会、さらには労働相談を通じて働く現場の声を取りまとめ、政府・政党などへの要請をはじめ、様々な活動を通じて、命とくらしを守る政策の実現に取り組んできた。今後も、持続可能で包摂的な「働くことを軸とする安心社会」をめざし、力強く政治・政策活動を推進していく。

以 上