事務局長談話

 
2020年11月19日
第25回参議院選挙に対する最高裁判決についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.与野党は合憲判決に甘えることなく抜本的な改革を進めるべき
 
11月18日、最高裁判所大法廷は、選挙区間における議員1人あたりの選挙人数の最大較差(いわゆる「一票の較差」)が3.00倍だった2019年の第25回参議院選挙は合憲との統一判断を示した。2012年に最高裁において違憲状態との判断が示されて以降、累次の法改正で定数の増減などが行われてきたが未だに本質的な問題の解決には至っていない。与野党は今回の司法判断に甘えることなく、二院制のもとでの参議院の役割も含めた抜本的な改革を進めるべきである。

2.弥縫策の積み重ねは参議院不要論にすらつながりかねない
 参議院選挙における一票の較差は、長らく5倍前後で推移してきたが、最高裁から示された違憲状態との判断を受け、立法府において投票価値の平等という憲法の要請に応じるための取り組みが進められてきた。
一方、最高裁は、昭和58年大法廷判決以降、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一・絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものである、との基本的な判断枠組みを維持し続けている。しかし、憲法が二院制を規定している意義や参議院の役割といった重要かつ本質的な議論は進展をみせていない。
このような中で投票価値の平等だけを目的とする弥縫策を積み重ねることは、衆議院のカーボンコピーと指摘されることもある参議院の不要論にすらつながりかねないと強く懸念する。

3.連合は合区の早期解消も含めた参議院選挙制度改革を求めていく
 こうした弥縫策の中でも、2015年の法改正で設けられた合区制度は多くの問題をはらんでいる。合区は都道府県という単位の政治的重要性を軽視しているだけではなく、現行の4県に次いで人口が少ない県が隣接県でないことを踏まえると、今後も合区によって一票の較差を是正していくことは困難であり、著しく合理性を欠いている。さらに、この制度と合区対象県における低投票率との関連も指摘されている。
連合は、地方の事情に精通した全国民の代表としての活動など、参議院に二院制のもとでの独自の役割を定めつつ合区を解消するとともに、立法府において積極的な参議院選挙制度改革の議論が行われるよう、支援する国会議員とも連携をはかりつつ、幅広く世論に課題提起していく。

以 上