事務局長談話

 
2020年10月27日
「核兵器禁止条約」の発効決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.「核兵器禁止条約」の発効を歓迎する
 「核兵器禁止条約」は、10月24日に中米のホンジュラスが批准したことで、発効に必要な50の国・地域による批准に達した。これにより本条約は、90日後の2021年1月22日に発効する。広島・長崎の被爆から75年が経過したが、核兵器を巡る情勢は複雑さと不透明さを増している。こうした中での本条約の発効は、非保有国をはじめとする世界の国々から核兵器廃絶を求める強い意思が示された結果として、重く受け止めるべきである。連合は、すべての核兵器廃絶を求める立場から、条約の発効を歓迎する。

2.本条約の発効は国際社会の核兵器への危機感の高まりの表れ
 核兵器保有国や米国の「核の傘」に依存する国の多くは本条約に反対している。しかし、核兵器を「非人道兵器」と定める国際規範とし、停滞する核軍縮を推進する圧力になることが期待される中、2017年7月に国連加盟国の6割を超える122カ国・地域の賛成多数で本条約は採択された。本条約の発効は、国際社会の核兵器に対する危機感の高まりの表れと言える。

3.日本政府は唯一の戦争被爆国として役割と責任を果たすべき
 日本政府は「国際社会の分断を深める」として、この条約に反対し、批准していない。わが国には、唯一の戦争被爆国としての重要な役割と責任があり、核兵器廃絶を求める国際的な機運に対し目を背けることは許されない。核兵器保有国と非保有国との橋渡し役として、日本政府は批准への道を閉ざすことなく、また、核兵器廃絶の合意形成に向けた情報発信と外交努力を行うことが求められる。特に、次回開催の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の重要性は一層増しており、核兵器保有国の核抑止力の論理に圧力をかけるなど実効ある日本政府の取り組みを強く求める。

4.連合は核兵器廃絶のために引き続き取り組む
 連合は「核兵器廃絶による世界の恒久平和の実現」をめざし、被爆地広島・長崎で毎年8月に実施している平和行動をはじめ、NPT再検討会議に向けて原水禁、KAKKINとともに「核兵器廃絶1000万署名」を展開するなど、継続した運動を進めてきた。引き続き、あらゆる機会をとらえて、核兵器廃絶に向けた国際社会の一致した行動を求めて幅広い世論喚起などに取り組んでいく。

以 上