事務局長談話

 
2020年07月15日
労働力需給制度部会「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長     相原 康伸

1.日雇派遣の原則禁止が維持されたことを評価
 7月14日、労働政策審議会労働力需給制度部会(部会長:鎌田耕一・東洋大学名誉教授)は、「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」を取りまとめた。部会では、改正法施行3年後の見直しの附則を受け、今後の労働者派遣制度のあり方について議論してきた。施行状況調査がコロナ禍以前に実施されたものであること、同一労働同一賃金の定着状況も踏まえる必要があることから「中間整理」とした。連合は、日雇派遣の原則禁止が引き続き維持されたことを評価する。

2.派遣先の団体交渉応諾義務については専門的見地から検討が必要
 「中間整理」は、原則禁止である日雇派遣の年収要件を含めた例外のあり方、個人単位の期間制限、離職後1年以内の派遣禁止については、当面現行制度を維持することが適当としつつも、今後改めて制度のあり方について検討することが適当と整理している。連合が主張してきた派遣先の団体交渉応諾の義務化については、引き続き検討することが適当とされた。ハラスメント等、派遣先の労働現場における問題解決の実効性を高めるためには、派遣先との団体交渉が必要であり、参議院における附帯決議を踏まえ、労働組合法との関係も含めて専門的見地から検討すべきである。

3.同一労働同一賃金とあわせた職場への定着の取り組みが先決
 連合は審議会において、雇用の基本は期間に定めのない直接雇用であるべきとの原則を踏まえ、キャリアコンサルティングや教育訓練について雇用安定措置と一体的に捉え、派遣労働者の雇用の安定をはかっていくことを求めてきた。また、日雇派遣については、日々雇用と間接雇用が合わさった不安定雇用の最たるものであり、2012年改正時の労政審建議の趣旨を踏まえれば、例外業務の拡大または追加は認められないと主張してきた。派遣労働者に対する同一労働同一賃金の適用とあわせ、現行法の一層の職場への定着を進めることが先決である。

4.連合は派遣労働者の雇用安定と処遇改善に向けて全力で取り組む
 現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、突然の雇止めや自宅待機の要請など、多くの派遣労働者の雇用は不安定化しており、就業環境を含めた正社員との格差も浮き彫りになっている。今やるべきことは規制の緩和ではない。派遣労働者の雇用安定と処遇改善に向けた法令遵守こそ徹底されるべきである。連合は引き続き、派遣労働者の権利保護と処遇改善に向けて、職場、構成組織および地方連合会と一体となり、全力で取り組んでいく。

以 上