事務局長談話

 
2020年07月06日
「女性活躍加速のための重点方針2020」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長     相原 康伸

1.新型コロナウイルスの感染拡大も踏まえた実効性ある施策が必要
 政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長:安倍内閣総理大臣)は7月1日、「女性活躍加速のための重点方針2020」(以下、重点方針)を発表した。重点方針では、新型コロナウイルスの感染拡大による女性への深刻な影響と女性活躍の新たな可能性への対応を掲げ、固定的性別役割分担意識にもとづく家庭責任の女性への集中、生活不安・ストレスからのDV等の増加・深刻化、女性の雇用不安への懸念を示している。しかし、これらの課題のすべてに対する、迅速で実効性のある施策が打ち出されているとはいい難い。

2.困難を抱える女性への支援対策にジェンダー平等の視点を
 重点方針では、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」を基本的な考え方に据え、被害者支援のための様々な対策が盛り込まれたが、DVは相談件数が毎年10万件を超え高止まりの状況にある上、コロナ禍でより深刻化している。女性への暴力を断ち切るための施策を早急に行うべきである。また、「困難を抱える女性への支援」では「非正規雇用労働者の待遇改善」とあるが、4月の緊急事態宣言以降、女性の有期・パートタイム・契約・派遣労働者が真っ先に解雇や雇止めに追い込まれており、その対策はまったなしである。さらに、養育費の支払い確保に向けた法改正の検討も示されたが、あわせてひとり親家庭への支援を一層強化すべきである。

3.実効性あるポジティブ・アクションの実施が必須
 あらゆる分野における女性の参画拡大については、政治、司法、行政、科学・学術、企業・団体といった多くの分野での取り組みを掲げるが、従来からの進展はみられない。「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」政府の目標を達成できる見通しは極めて低い。男女格差を測る国際的な指標の一つであるジェンダーギャップ指数の順位が年々低下していることの本質を深刻に受け止め、実効性のあるポジティブ・アクションを進めていかなければならない。

4.誰もが平等で差別されることのない社会に向けて早急な対応を
 政府は、国連女性差別撤廃委員会をはじめ国内外から指摘されている、選択的夫婦別姓の早期導入や女性の再婚禁止期間撤廃など、ジェンダー平等に関する課題を重く受け止め、早急に対処すべきである。加えて、ハラスメントの行為そのものを禁止する法改正を行い、ⅠLO第190号条約の早期批准に向けて検討を進めるべきである。連合は、多様性を尊重し、誰もが平等で差別されることのない社会の構築をめざし、今後も組織をあげて取り組みを進める。

以 上