事務局長談話

 
2020年06月12日
2020年度第2次補正予算成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長   相原 康伸

1.迅速な予算執行に全力を尽くすべき
 6月12日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う追加の財政措置を盛り込んだ2020年度第2次補正予算が参議院本会議において可決・成立した。一般会計の追加歳出31.9兆円の財源は全額が国債発行でまかなわれるが、目下の危機的事態の克服に向けて財政の力が重要なことは論をまたない。一方で、第1次補正予算にもとづく個人や企業への給付等でも遅れが際立っており、迅速な予算執行へ向けた改善に全力を尽くすべきである。

2.雇用調整助成金の拡充は評価するも、新たな給付制度はその趣旨の周知徹底を
 連合が求めていた、一般会計からの資金投入による雇用調整助成金の日額上限引き上げ、資金繰り支援の強化、家賃支援、困窮学生への支援などが盛り込まれたことは評価できるが、国民の安心に繋げるためには、一刻も早い給付・貸付の実行が不可欠である。また、コロナ禍の影響の長期化も踏まえ、マイナンバー制度の活用に向けた環境整備や、オンラインによる行政、診療、授業などのインフラ整備の遅れをはじめ、この間に露呈した様々な課題を克服するための取り組みも進める必要がある。なお、雇用調整助成金の拡充に加え、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」の創設などが行われたことは、雇用維持の観点から評価したい。本制度は、本来事業主が支払うべき休業手当の支給がなされない場合に、個人への直接給付を認めるものであり、この趣旨については周知徹底をはかるべきである。

3.医療・福祉・介護現場での感染防止対策の徹底と、住居確保支援の強化を
 院内感染や感染拡大の防止、児童虐待防止、妊産婦や乳幼児健診の個別実施など、連合が求めていた内容が盛り込まれたことも評価する。医療・福祉・介護現場の集団感染を防止し、現場の従事者が安全に働くための対策を徹底するとともに、慰労金の確実・迅速な支給は言うまでもなく、継続的な処遇改善に取り組む必要がある。住居確保給付金については、申請件数の急増を踏まえ、さらなる予算を確保し支援を強化するべきである。また、妊産婦に対する総合対策事業は、現行の諸制度が利活用されていない実態も明らかとなっており、政府として事業主へのさらなる周知、働きかけに取り組むべきである。

4.生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け引き続き全力で取り組む
 コロナ禍に対する一連の巨額の財政支出は、非常時の対応としてやむを得ないが、これを契機に持続可能な社会への構造変革を促し、将来世代への責任を全うしていく必要がある。その意味でも、中長期的な財政運営を客観的に評価・分析する独立財政機関の設置が求められる。また、今後、新型感染症と共存する「新しい生活様式」を前提とする中で、大きな影響を受ける業種・職種への支援とともに、良質な雇用の創出をめざし、国の責任と労使の力で取り組む必要がある。
 連合は、国民の生命と健康を守り、生活・雇用・経済の安心と安定の確保に向け、構成組織・地方連合会と一体となり、引き続き全力で取り組んでいく。

以 上