事務局長談話

 
2020年04月30日
2020年度第1次補正予算成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長   相原 康伸

1.成立が大幅に遅れたことは極めて遺憾
 4月30日、緊急経済対策を盛り込んだ2020年度第1次補正予算が参議院本会議において可決・成立した。本対策の事業規模は117.1兆円に上り、財政支出は48.4兆円と過去最大となる。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、国民の生命を守るための重要な補正予算であるにも関わらず、審議直前の補正予算案の組み換えによる混乱などにより、成立が大幅に遅れたことは極めて遺憾である。今般の各種対策が迅速かつ確実に実施されるよう、行政手続きの簡素化や周知の強化などに全力を尽くすべきである。

2.家計や中小企業の救済と雇用維持の迅速かつ確実な実施を
 日々の生活に困窮する家計や経営状態が悪化する中小企業などの救済が喫緊の課題である中、給付金制度の創設や資金繰り対策などが盛り込まれたことは評価する。一方、個人への給付金については所得制限を設けず一律とされたが、支援が必要な層に一刻も早く給付されなければならない。
 雇用調整助成金については、助成率の引き上げや雇用保険被保険者ではない労働者も対象化するなど、拡充された点は評価する。ただし、特例的に助成金の日額上限(8,330円)を見直すなど、雇用維持に向けた一層の取り組みを強力に推進すべきである。中小企業のテレワーク導入支援についても、さらなる助成が必要である。 

3.医療体制等の確保・充実に強力に取り組むべき
 医療安全と従事者の安全の確保のため保健所機能の強化や防護・衛生資材の確実な供給を保障するとともに、住居確保給付金や国保の傷病手当金など各種措置の周知に取り組むべきである。
 医療分野など生活の最前線を支えるエッセンシャルワーカーとその家族へのハラスメント、妊娠中の女性労働者等への配慮、DVや児童虐待、生活困窮など、様々な不安の解消に向け、民間の相談支援機関との連携をはじめ、多様な困難に寄り添った具体的な対策を積極的に進めるべきである。

4.すべての働く者の安心確保に向けて全力で取り組む
 連合はこの間、支援の迅速化と適正化の観点から、正確な所得捕捉を可能とするマイナンバー制度の一層の活用、および中長期的な財政運営の客観的評価と分析を行う、内閣から独立した機関(独立財政機関)の設置を強く求めてきた。今後必須となる追加支援の検討も念頭に、引き続き、これら諸施策の具体化を求める。 
 一方、全国から日々寄せられる数多くの労働相談は、困難に直面する現実を如実に表している。国民の生命と健康を守り、すべての働く者の安全と安心の確保に向け、機動的な社会への問題提起と政府・政党への要請行動、さらには、課題を共有する関係団体との共同行動など、連合は、構成組織・地方連合会と一体となり、全力で取り組んでいく。

以 上