事務局長談話

 
2019年12月25日
「雇用対策基本問題部会報告」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
 

  1. 70歳までの雇用・就業機会の確保に向けた方向性が示された点は評価
     12月25日、労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会(部会長:阿部正浩中央大学経済学部教授)において、「雇用対策基本問題部会報告~高年齢者の雇用・就業機会の確保及び中途採用に関する情報公表について~」が取りまとめられた。意欲ある高齢者が年齢に関わりなく働き続けることのできる環境整備は非常に重要である。今回の報告書において、努力義務ではあるものの70歳までの雇用・就業機会の確保に向けて一定の方向性が示された点については評価したい。

  2. まずは希望者全員が65歳まで働くことのできる環境整備を
     70歳までの就業を考える上で、雇用形態に関わりなく希望者全員が65歳まで働くことのできる環境整備がその土台となることは言うまでもない。安全や健康への配慮はもちろんのこと、まずは現行の高年齢者雇用安定法で義務づけられている高年齢者雇用確保措置をすべての企業が実施するべきである。加えて、2020年4月に施行を控える同一労働同一賃金に関する法律への対応を確実に実施し、不合理な待遇差を是正していくことが急がれる。

  3. フリーランスや起業などを行う者に対する就業者保護の視点が必要
     報告書では、定年廃止、定年延長、継続雇用制度の導入といった現行の高年齢者雇用確保措置と同様の措置のほかに、他の企業への再就職、フリーランスや起業に関する制度、社会貢献活動に関する制度の中からいずれかを講ずることを、事業主に努力義務として課すこととしている。フリーランスや起業など、雇用によらない措置のみを選択する場合には、集団的労使関係による労使合意をその要件としているが、労働組合がない職場などにおいても実効性を担保していく必要がある。加えて、かねてから指摘してきたように、こうした働き方は労働安全衛生法などの保護が及ばないこともあり、65歳以上の高齢者に限らず、就業者保護の観点からセーフティネットの構築をはかるべきである。

  4. 年齢にかかわらず生きがい・働きがいを持って働ける社会に
     今後は、報告にもとづき、労働政策審議会職業安定分科会での法案要綱の審議を経て、次期通常国会において高年齢者雇用安定法等の改正法案が提出される予定である。連合は、就労を希望する高齢者のニーズに対応し得る環境が整備され、生きがい・働きがいを持って働くことのできる社会の実現に向けて、国会審議への対応を進めていく。


以 上