事務局長談話

 
2019年12月20日
全世代型社会保障検討会議の中間報告に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 将来世代を視野に入れた検討としては物足りない
     政府の「全世代型社会保障検討会議」は12月19日、中間報告をとりまとめた。中間報告は、人口減少・超少子高齢化、働き方やライフスタイルの多様化など課題が山積する中で、持続可能な社会を実現するため、社会保険の適用拡大に言及するなど、一部では連合の主張と合致する点もある。しかし、子ども・子育て支援や財源に関する検討が一切行われないなど、将来を見通した「全世代型社会保障」の検討としては踏み込みが足りないと言わざるを得ない。

  2. 社会保険の適用拡大は不十分
     中間報告では、60代前半の在職老齢年金の減額基準を月47万円に引き上げるとしており、高齢者就労を阻害しない制度とする観点からは評価できる。しかし、社会保険の適用拡大について2024年10月に51人以上の企業まで適用するよう企業規模要件を段階的に引き下げ、適用業種に10の士業(5人以上の個人事業所)を追加するとしているが、不十分である。働き方や勤務先の違いなどによって社会保険適用の有無が異なることは不合理であり、すべての労働者が社会保険に原則適用されるよう、さらなる適用拡大に向け、適用要件の大幅な見直しを行うべきである。

  3. 高齢者の医療費負担が生活の維持に困難をきたさぬ検討を
     医療に関しては、「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」に掲げられている外来診療時の定額自己負担の導入や薬剤自己負担引き上げについて、連合などが反対した結果、所得の多寡による医療アクセス格差の拡大が懸念されるとして見送られることとなった。75歳以上の一定所得以上の高齢者に限って自己負担を引き上げることについては、生活の維持に困難をきたすことのないよう、審議会で丁寧な検討を行うことが必要である。

  4. 連合は高齢者雇用の環境整備と安心の社会保障の法改正に取り組む
     今後、各論の検討は社会保障審議会や労働政策審議会で行われた後、年金、介護および高齢者雇用については次期通常国会に改正法案が提出される見通しである。連合は、各審議会での意見反映に努めるとともに、構成組織や地方連合会とともに、立憲民主党や国民民主党などと連携しながら、意欲ある高齢者が年齢にかかわりなく働き続けられる環境の整備と、社会保険の一層の適用拡大、基礎年金の底上げ、介護離職のない社会に資する法改正の実現に向け取り組みを強化する。


以 上