事務局長談話

 
2019年12月20日
「2020年度政府予算案」の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.国会における与野党の真摯な議論が求められる
 12月20日、政府は一般会計総額を当初予算としては過去最大の102.7兆円とする、2020年度予算案を閣議決定した。政府は、持続的かつ包摂的な経済成長の実現と財政健全化の達成に向け取り組みを推進するとしているが、その内容は生活者・働く者からの視点が不十分である。年明けの通常国会における与野党の真摯な議論を通じた精査・修正を求める。


2.規模ありきの経済対策は容認できず内容の精査が必要
 政府は、本予算案に先立つ12月13日に閣議決定した2019年度第1次補正予算案と合わせた「15か月予算」の考え方により、財政支出13.2兆円規模の経済対策を行うとしている。災害復旧は当然に不可欠だが、規模ありきでの予算計上は容認できず、内容も概して総花的であり、個人消費の拡大につながるか不透明である。


3.保育の質の向上に向けた財源確保が求められる
 社会保障関係費について、地域医療介護総合確保基金の積み増しや、ひきこもりなどの相談支援の予算が計上されたことは評価できる。しかし、子ども・子育て支援に関して、保育の質の向上に必要な0.3兆円超の財源確保が今回もまた見送られたことは極めて遺憾である。働き方改革のための診療報酬の増額は、病院勤務医の過重労働の解消に確実につながる仕組みとしなければならない。病床を削減した病院などへの補助金の創設については、それらを契機として、全国で適切な医療を受けられる体制の確保を前提に、民間医療機関を含めた一体的な地域医療構想の実現を期待する。
 また、小中学校のすべての子どもがPC端末を活用できる環境を実現するとして、補正予算に2,318億円が計上された。子どもの学びの質を確保するためにも、ハード面のみならず、教職員の定数改善およびICT支援員の確保を行うことで、学校の働き方改革を進める必要がある。


4.政策・制度要求の実現に向け引き続き取り組む
 今年度は消費税率引き上げにもかかわらず税収見通しが前年を下回る状況であり、歳入の多くを国債に依存する構造は変わっていない。これ以上、将来世代への負担の付け回しをしないために、社会保障の充実・安定化とそれを支える税財政のあり方とともに、財政健全化に向けた具体的な議論の場を求める。
 連合は、すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」につながる政策の実行を求め、財政制度等審議会での意見反映や政府・政党への要請行動を展開してきた。政策・制度要求の実現に向けて、引き続き取り組んでいく。


以 上