事務局長談話

 
2019年12月12日
与党「令和2年度税制改正大綱」に対する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸


1.税制の抜本改革に取り組む姿勢がうかがえない
 12月12日、自民・公明両党は「令和2年度税制改正大綱」(以下、「大綱」)を決定した。格差是正に向けた所得再分配機能の強化や、持続可能で包摂的な社会保障制度・教育制度の構築に必要な安定財源の確保に向け、税制の抜本改革は喫緊の課題である。しかしながら、大綱では改革の全体像が示されておらず、そうした課題に正面から取り組む姿勢がうかがえない。


2.家族形態や働き方の多様化への対応などさらなる検討が必要
 連合が過去より求めてきた非婚のひとり親に対する寡婦・寡夫控除の適用拡大が盛り込まれたことは評価できる。引き続き、家族形態や働き方の多様化に対応する、性やライフスタイルなどに中立な税制の実現に向けた検討・見直しが求められる。また、金融所得に対する課税強化が昨年に引き続き見送られたことは残念である。所得再分配機能や財源調達機能の回復に向けた重要課題であり、早急に結論を出すべきである。
 成長分野への投資促進を目的に、オープンイノベーション推進に向けた措置などが盛り込まれたが、企業の内部留保が増加の一途を辿る中、企業収益の適切な配分に向け、人的投資に対するより積極的な支援など多角的な検討が必要である。


3.軽減税率制度の政策効果・運用状況の不断の検証を
 消費税は、国民が広く負担を分かち合う税目であり、社会保障制度や教育制度の維持・充実に向け重要な役割を担い得るものである。一方、税率引き上げと同時に導入された軽減税率制度については、高所得者優遇となる制度であることや、対象品目の線引きが不明確であることなどを踏まえ、一貫して導入に反対してきた。同制度の政策効果と運用状況について不断の検証を行った上で、低所得者に対する給付付き税額控除など真に効果的・効率的な制度の導入を検討すべきである。


4.連合は「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組む
 小手先の対応の繰り返しによる将来世代への負担の付け回しを、これ以上続けることは許されない。国民のくらしと将来の希望を確かなものにするため、政府・政党には、社会保障制度や教育制度の充実とあわせ、税制の抜本改革に向けた議論を一刻も早く開始することが求められる。
 連合は、年明けからの通常国会における徹底した審議を求めるなど、働く者・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組んでいく。


以 上