事務局長談話

 
2019年06月26日
ILO100周年宣言の採択に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. ILOの歴史的な節目に政労使の合意で採択された宣言を心から歓迎
     6月21日、国際労働機関(ILO)は、第108回総会において、「2019 年の仕事の未来に向けたILO創立100周年記念宣言」を全会一致で採択した。ILOの創設100周年を迎えたこの歴史的な機会に、ILO憲章(1919年)やフィラデルフィア宣言(1944年)などの歴史的文書の重要性や価値を再確認したうえで、それにとどまることなく、ILOが新たな100年においても力強い歩みを進めていくための宣言が政労使三者の合意により採択された意義は大変大きく、心から歓迎する。

  2. ILOの確固たる任務・価値の再確認と仕事の未来に向けた行動提示
     「宣言」は、前文において、政労使三者の継続的かつ一致した行動は社会正義、民主主義、普遍的かつ永続的な平和の達成に不可欠であることが、過去100年間の経験により裏付けられてきたとし、ILOの任務の普遍性と国連機関で唯一ILOがとっている三者構成主義の価値を強調した。そして、ILOを構成するすべての関係者が社会正義などの達成のための揺るぎない責任を有していることを再確認するとともに、それぞれの取り組みを再活性化させるよう呼びかけた。さらに、総会にILO事務局長報告として提出された「仕事の未来世界委員会報告書」の内容も踏まえ、仕事の未来を人間中心のアプローチで実現するためにILOおよび加盟国政労使がとるべき行動を盛り込んでいる。

  3. 人間中心のアプローチによる仕事の未来に向けた羅針盤
     「宣言」の採択に至る過程は困難を極めた。三者間の立場の相違が際立つ場面も多く、合意形成は容易ではなかった。そのような中、最終的に「宣言」の採択に至ったのは、ILOを構成する一員としての責任を果たそうとする政労使に深く根付く姿勢によるものにほかならない。そして、ILOの具体的な行動分野を定めた今回の宣言について、ガイ・ライダーILO事務局長は、「仕事の未来とはILOの未来であり、採択した『宣言』は私たちを前進に導く羅針盤である」と評した。

  4. 連合は未来を変える決意を胸にディーセント・ワークの実現に取り組み続ける
     ILOが創設100年を迎え、100周年宣言を採択した今年、連合も結成30周年を迎えるのを機に「連合ビジョン」を取りまとめた。この歴史的な節目にあたり、連合は「私たちが未来を変える」決意を新たにし、「働くこと」を軸とすることに加えて「持続可能性」と「包摂」を運動の基底に置き、ディーセント・ワークを実現していく取り組みを、国内のみならず世界各地においても、力強く推進していく。
    以 上