事務局長談話

 
2019年06月25日
厚生労働省「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」中間整理に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長  相原 康伸

  1. 雇用類似就業者の法的保護の道筋をつけるべく検討を深めるべき
     本日、厚生労働省「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」(座長:鎌田耕一 東洋大学名誉教授)は、フリーランスなどの雇用類似就業者の保護に関する中間整理をまとめることとした。本検討会は、2018年3月にまとめられた「雇用類似の働き方に関する検討会」報告書で示された実態分析等を踏まえ、雇用類似就業者の保護のあり方を検討してきた。「中間整理」は、契約ルールや報酬の適正化などの項目毎に検討の優先順位をつけるに留まっている。今後は最終報告に向けて、実効性ある法的保護の道筋をつけるべく検討を深めるべきである。
     

  2. 契約条件の明示や報酬支払の確保などを優先検討課題として整理
     雇用類似就業者は、発注者との交渉力の格差等を背景に弱い立場に置かれがちであり、労働者性が認められない場合は労働関係法令が適用されず、保護されない。発注者による契約条件の一方的変更や報酬の支払遅延などが生じている中、「中間整理」では、契約条件の書面明示や報酬支払・報酬額の適正化等を「本検討会で特に優先的に取り組むべき課題」として整理した。また、仕事による負傷の際の支援等は「専門的・技術的な検討の場において優先的に取り組むべき課題」、仕事が打ち切られた場合の支援等は「必要に応じ検討すべき課題」に整理した。
     

  3. 短期的な対応だけでなく、労働者概念の検証も早期に着手を
     雇用類似就業者を労働政策上どのように保護するかについては、労働者概念を拡張することが考えられる。しかし「中間整理」では、労働者概念の見直しは、短期的に結論を得ることが困難であることを理由に「継続的な検討課題」として整理した。諸外国では既に労働者性の再検討の動きや裁判例等が見受けられ、わが国でも報酬や災害補償などの問題解決に向けて雇用類似就業者とされる者による労働組合結成の動きがあるなど、雇用類似就業者の保護は国内外で喫緊の課題となっている。そうした中、短期的な対応をはかることは必要であるが、同時に、現行の労働者概念が社会実態に適合したものであるかの検証も早期に着手すべきである。

  4. すべての働く者が安心して働くことができる社会基盤の構築に向けて
     雇用類似就業者の課題を放置することは、当該者の保護の観点から問題であるだけでなく、雇用労働者の雇用・労働条件にも影響を及ぼす。連合は、就業形態にかかわらず、すべての働く者が安心して働くことができる社会基盤の構築に向け、取り組みを進めていく。
    以 上