事務局長談話

 
2019年06月21日
政府の「経済財政運営と改革の基本方針2019」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 社会保障制度の基盤確立と財政健全化のためには税財政一体での対応を
     6月21日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)を閣議決定した。方針で掲げる「持続的かつ包摂的な経済成長の実現と財政健全化の達成の両立」のためには、一律的な歳出削減を行うのではなく、税財政一体で対応をはかり、国民のくらしに直結した歳出項目へは予算配分を重点化するべきである。また、基礎的財政収支の黒字化に向けた具体的な道筋を国民に示す必要がある。
     社会保障に関しては、団塊ジュニア世代が高齢期を迎え、高齢者数がピークに差し掛かる2035年以降を視野に、社会保障と財源のあり方に関するビジョンの策定に向け、各政党、労使、国民各層の代表による国民的な「協議の場」を早急に設置すべきである。また、就職氷河期世代の支援については、支援対象者の置かれた状況や本人の希望を踏まえたきめ細かい対応が求められる。

  2. 「誰もが時給1000円」を早急に実現すべき
     「最低賃金の引上げ」について、労務費の転嫁の円滑化等、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を明示したことは評価できる。一方、「より早期に全国加重平均が1000 円になることを目指す」としているが、全国加重平均の目標では、地域間格差を拡大しかねない。「誰もが時給1000円」を早急に実現した上で、ナショナルミニマムとしてふさわしい水準まで引き上げる必要がある。なお、「最低賃金のあり方」については、政府のみならず、公労使で検討すべきである。

  3. すべての子どもの教育費無償化と、仕事と育児の両立支援の充実が必要
     「高等教育無償化」が示されているが、無償化の対象は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の子どもにとどまっている。社会分断を招くことのないよう、中間層を含めたすべての子どもを対象とし、就学前教育・保育から高等教育までの費用の無償化を実現すべきである。また「少子化対策、子ども・子育て支援」については、数値目標を前面に出すのではなく、誰もが仕事と育児を両立できる就業環境の整備を急ぐべきである。

  4. 「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け全力で取り組む
     経済を持続的に発展させ、包摂的な社会を構築していくには、雇用の安定と質の向上や、社会的セーフティネットの強化による将来不安の解消などを通じ、国民全体の「底上げ・底支え」「格差是正」を行う必要がある。連合は、今後の社会保障改革の議論に積極的に参画していくことをはじめ、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでいく。
    以 上