事務局長談話

 
2019年06月07日
規制改革推進会議「規制改革推進に関する第5次答申」に対する談話
日本労働組合総連合会

事務局長  相原 康伸

  1. 雇用・労働政策は、働く者の意見を踏まえて立案すべき
     6月6日、政府の規制改革推進会議(議長:大田弘子 政策研究大学院大学教授)は、「規制改革推進に関する第5次答申」(以下「答申」という)をまとめ、安倍内閣総理大臣へ提出した。答申は、雇用・労働に関するルールの見直しに多数言及しているが、働く者の代表が入ることなく取りまとめられた。また、個別の改革項目は、労働者保護の後退を招きかねない事項や、改革が不十分と言わざるを得ない事項も少なくない。雇用・労働政策は、働く者の意見を踏まえて立案すべきである。

  2. 副業・兼業や日雇い派遣の規制緩和などは慎重な議論を要する
     答申は、ジョブ型正社員の雇用ルールの明確化の観点から、労働契約締結時に勤務地変更の有無やその際の労働条件明示を書面で行う方策を講ずる旨を示した。しかし、勤務地限定などの就労形態はすでに個別労使で制度設計を行い導入しており、立法事実があるか疑問である。また、副業・兼業普及の観点からの複数事業場で働く場合の労働時間通算の考え方の見直しや、労働者への賃金支払いの資金移動業者口座への支払い解禁、日雇い派遣の原則禁止の緩和など、労働者保護の観点から問題と言わざるを得ない事項も盛り込まれている。これらは、見直しの必要性も含め労働政策審議会で慎重に議論すべきである。一方、外国人材への日本語教育支援の枠組み整備については、外国人材がコミュニケーション不安等を覚えることなく安心して働くことができる環境整備の点から重要であり、一層の推進を期待する。

  3. 働く者の声を踏まえた仕事と介護の両立支援制度等の権利の拡充を
     介護休暇の時間単位取得については、年間約10万人と言われる介護離職への対策としては不十分であり、介護休業期間の延長や有期契約労働者の取得要件撤廃など、さらなる拡充が必要である。労働政策審議会においては、働く者の声を踏まえつつ、職場の実態を把握した上で、権利の拡充に向けた検討を進めるべきである。また、各種国家資格等における旧姓使用の範囲拡大については、根本的な解決に向けて早期に選択的夫婦別氏制度を導入すべきである。

  4. 労働者保護ルールなどの堅持・改善に全力で取り組む
     今後、政府は答申を受けて「規制改革実施計画」を策定することとなる。答申が標榜するとおり、社会・経済状況の変化等を踏まえ各種規制について不断の見直しをはかることは必要である。しかし、誰もが安定的な雇用と公正な労働条件のもとで働く環境を整備する視点が不可欠である。連合は「働くことを軸とする安心社会」の実現をめざし、労働者保護ルールの堅持・改善に向け、全力で取り組んでいく。
    以 上