事務局長談話

 
2019年05月13日
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律の成立についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 待機児童問題解消と保育の質の確保を優先すべき
     「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が5月10日、参議院本会議において与党などの賛成多数により可決・成立した。喫緊の課題である保育所等待機児童問題が解消されないまま幼児教育・保育の無償化を行うことには、政策の優先順位として疑問が残る。また、国の指導監督基準に満たない認可外保育施設も無償化の対象となっており、安全や保育の質の確保に向けた法案修正がなされないまま成立に至ったことは遺憾である。
     

  2. 待機児童問題の解消に向け保育士等の人材確保対策の強化を
     国会審議では、いまだ約2万人いる保育所等待機児童の解消に優先して、無償化を行うことの是非について、立憲民主党や国民民主党など連合フォーラム議員が追及した。しかし、政府与党は2020年度末までに32万人分の受け皿整備を行う子育て安心プランの実施により解消をはかるとし、法案の修正には至らなかった。いわゆる潜在的待機児童の存在も指摘される中、希望するすべての人が保育所等を利用できるよう、待機児童問題の早急な解消に向け、国会附帯決議を踏まえ、保育士等のさらなる処遇改善を進め人材確保に取り組む必要がある。
     

  3. 保育施設等における安全や保育の質の確保が不可欠
     認可外保育施設については、都道府県等による立入調査は十分に実施されておらず、また、指導監督基準も認可保育施設に比べて不十分であり、安全や保育の質は担保されていない。政府はこれら施設の認可化移行を強力にすすめるとともに、10月の無償化実施に向け質の確保のための対策を講ずるべきである。
     また、附帯決議では、一部の私立幼稚園による授業料の値上げへの対応、企業主導型保育に対する市町村との連携強化のための措置も求められており、政府はこれらの課題の解決に向け確実に取り組む必要がある。
     

  4. 連合は誰もが安心して子どもを育てられる社会の実現に取り組む
     法改正により保護者負担は一部軽減するが、最優先すべきは、希望する誰もが安全で質の確保された保育サービスを利用できる体制を整備することである。連合は、働く者や生活者の誰もが安心して子どもを育てられ、子どもや子育てを社会全体で支えることの実現をめざして、今後も政府と全国の自治体の子ども・子育て会議で積極的に意見反映に努めるなど取り組みを展開していく。
    以 上