事務局長談話

 
2019年05月10日
「大学等における修学の支援に関する法律」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. すべての子どもに高等教育で学ぶ機会を保障するための一歩として評価
     本日、①入学金・授業料減免制度の創設、②給付型奨学金の拡充を盛り込んだ「大学等における修学の支援に関する法律」が参議院本会議で可決され成立した。経済的理由により高等教育への進学が困難な子どもの一部は学ぶ機会を保障されることとなり、教育の機会均等の観点からは一歩前進する。連合は、本法の成立を前向きに評価したうえで、すべての子どもが等しく学ぶ機会を保障される社会の実現のため、政府には残された課題の解決に向けた不断の見直しを求める。

  2. 中間層を含めたすべての子どもに対象を拡充することが必要
     連合調査(2015年10月)では、今回対象とならない年収400万円から800万円未満の層であっても8割以上が「大学などの教育費が重い負担である」と回答している。政府は、大学等に進学する子どもの2人に1人以上が何らかの奨学金を利用しなければならない現実を直視し、大学等の学費を引き下げ、中間層を含めたすべての子どもに対象者を拡充していくべきである。

  3. 「貧困の連鎖」解消につなげるべき
     本法の対象者の規模は、「住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生」の進学率が全世帯平均並みとなる約75万人を想定しているが、制度実施後の対象者層の進学率を十分に検証し、貧困の連鎖を解消する観点からの課題の把握とその解決に向けた制度の見直しをはかっていくべきである。一方で、対象教育機関に要件が課されたことから、志望校等の選定において混乱をきたすことがないよう、今夏に公表が予定されている対象校の周知を早期に徹底することが求められる。
     

  4. すべての子どもの教育費の無償化に向けて
     連合は、社会分断を招くことなく、すべての子どもの教育費が無償化されるよう、構成組織・地方連合会および関係団体と一体となって、引き続き取り組みを進めていく。