事務局長談話

 
2019年03月20日
労組法上の労働者性判断に関する中労委命令に対する談話

日本労働組合総連合会



事務局長 相原 康伸



  1. 初審命令を取り消す命令が発せられたことは残念
     3月15日、中央労働委員会(岩村正彦会長)は、コンビニエンスストアのフランチャイズ店主の労組法上の労働者性判断に関する2つの命令(以下「命令」)を発した。命令は、フランチャイズ店主の労組法上の労働者性を認めず、会社がフランチャイズ店主の加入する労働組合からの団体交渉申入れを拒否したことは不当労働行為に当たらないとした。実態として会社からの独立性は希薄であるとして労組法上の労働者にあたるとした初審命令を取り消す命令が発せられたことは残念である。

  2. 労働者性は契約形式ではなく実態で判断すべき
     命令は、フランチャイズ店主の労働者性について、[1]事業組織への組み入れ、[2]契約内容の一方的・定型的決定、[3]報酬の労務対価性、[4]顕著な事業者性の観点から検討を行った。その中では、フランチャイズ店主が損失や利益の帰属主体となっている点や従業員を雇用している点などを挙げ、事業組織への組み入れを評価しなかった。また、商品仕入れの工夫などの経営判断により利得する機会を有していることから顕著な事業者性もあるとし、これらを総合勘案し労組法上の労働者性を認めなかった。命令では、「契約」という形式面が重視されたが、初審の通り、労組法上の労働者性はフランチャイズ店主と会社との関係性の「実態」を踏まえて判断すべきである。

  3. 交渉力格差を認めつつも当事者の配慮に委ねた中労委の姿勢は疑問
     他方、命令は、会社とフランチャイズ店主の交渉力の格差は肯定した上で、当該格差は「労組法上の団体交渉という法的な位置づけを持たないものであっても、適切な問題解決の仕組みの構築やそれに向けた当事者の取り組みとりわけ、会社側における配慮が望まれる」と付言した。現行法制下では、会社とフランチャイズ店主との交渉力格差の是正に関する実効的な方策は見いだせない。その中で、労組法にもとづき労働者の団結権の擁護などを目的に設置されている国の機関たる中労委が、交渉力格差を認めつつも、その解を当事者の配慮に委ねた姿勢を示したことは疑問であり、就労形態の多様性を直視したものとは言い難い。

  4. どのような就労形態であっても安心して働くことができる環境整備を
     労組法は、憲法28条が保障する団結権、団体交渉権、団体行動権を踏まえ、「交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」を目的とするものであり、この法目的はすべての働く者に共通する考えである。連合は、どのような就労形態であっても安心して働くことができる労働関係法規・社会基盤の整備を求めていくとともに、集団的労使関係の輪を広げる運動を展開していく。
    以 上