事務局長談話

 
2019年02月01日
「戸籍法の改正に関する要綱案」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 行政手続に関する利便性向上と事務効率化に期待
     2月1日、法制審議会戸籍法部会は、「戸籍法の改正に関する要綱案」を確認した。要綱案は、戸籍事務へマイナンバー制度を導入するための規定整備を中心とするものであり、これにより個人情報の厳格な管理を前提に、行政手続などに関する国民の利便性の向上および事務の効率化がはかられることが期待される。

  2. 戸籍証明書を取得する手間の省略・軽減が可能に
     要綱案は、①マイナンバー法にもとづく行政機関への戸籍関係情報の提供、②市町村間のネットワーク整備による情報連携、③電子的な戸籍証明情報の発行、④戸籍関係情報の保護措置、⑤戸籍訂正手続などに関する規定の新設や見直しを行うとしている。これにより、マイナンバーカードを提示すれば、戸籍証明書が無くても年金や児童扶養手当の受給申請などの手続が可能になる。同様に、これまで本籍地の市町村に限られていた戸籍証明書の交付について、本籍地以外の市町村でも交付を受けることが可能になるなど、戸籍証明書を用いた行政手続を行う際の手間が省略・軽減されることになる。

  3. 個人情報の厳格な保護について規定を整備
     連合は、当部会において、戸籍には機微性の高い情報が含まれていることから、戸籍法改正の検討を進めるにあたっては、個人情報保護を最優先する観点から議論を尽くしていくべきであることを主張してきた。部会において丁寧な議論が重ねられた結果、要綱案では、個人情報保護に関する従来の規律に加え、個人情報を扱う職員や委託事業者における秘密漏えいや不正参照を防止するための措置を講じることが盛り込まれた。

  4. 連合は法改正の動向を注視しつつ、必要な環境整備を求めていく
     今後、法制審議会総会での要綱の取りまとめおよび法務大臣への答申などを経て、改正法案が国会に提出されることとなる。連合は、今回の戸籍法改正により、国民が安心できる形で利便性の向上や行政の効率化が実現されるよう法案審議の動向を注視していくとともに、マイナンバーカードの普及促進をはじめ、新たな仕組みが幅広く国民に利用されるための環境整備を求めていく。
     
    以 上